Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ドヴォルザーク
 ドヴォルザークの生地ネラホセヴェスは、プラハの北北西30キロほどに位置する小さな村。スメタナの連作交響詩「わが祖国」の「モルダウ」で有名なモルダウ川(チェコ語ではヴルタヴァ川)がボヘミア盆地を北上してエルベ川に合流する、少し手前にひっそりとたたずんでいる。
 もうかなり前になるが、「プラハの春音楽祭」の取材に行った折、ぜひこの地を訪ねたいと思い、足を伸ばした。
 ドヴォルザークの生家は、リニューアルは施されているものの、当時と変わらぬ素朴な風情をたたえ、入口前にはどっしりとした体格の像が立っていた。ここはあたり一面がうっそうとした緑に覆われ、時折聴こえるのは鳥の鳴き声と樹木が風にそよぐ音だけ。空気はどこか高原を思わせる清涼さに満ち、時の流れが止まったかのよう。耳をすますと、遠くから教会の鐘の音が響いてくる。そのほかはほとんど人も見当たらず、静謐な空気がただよう。
 ドヴォルザークは鉄道を愛し、いつも作曲に行き詰ると汽車をながめに行き、ストレスから解放されたそうだが、この生家の前に古い線路の跡が残っていて、そのルーツを垣間見る思いがした。
 実は、昨年の11月にNHK BSのテレビ番組「名曲探偵アマデウス」のドヴォルザークの「スラブ舞曲」の回に出演し、ドヴォルザークについてコメントすることになった。放映は今年1月で、24日の放送と25日の再放送は済んでしまったが、27日のBShi(00:00〜00:44 26日深夜)と30日のBS2(18:00〜18:44)はまだ見られる。
 私の出番はほんのわずかだが、ここにとても貴重なドヴォルザークの人形が出演している。というのは、ネラホセヴェスを散策していたときに小さな古い小屋でタバコを売っている年配の男性がいて、そのタバコの脇にドヴォルザークの粘土で作られたような小さなお人形が置いてあった。
「これ、欲しいんだけど」と私がいうと、そのおじさんは「売り物じゃねえ」とひとこと。「それよりタバコ買って行きな。手巻きだぜ」。「でも、私はこのお人形が気に入ったの。日本からやってきて、もうここには2度とこられないかもしれないから、これ売ってください」。「ダメだ、ダメだといってるだろう。これは売るための物じゃねえんだ。ワシはタバコを売っているんだよ」。「すごく気に入ったの。値段つけて、自由に決めてよ」。
 こんな押し問答を繰り返しているうちに、おじさんはついに根負け。「持ってけ、ドロボー」的な言葉を叫び、むんずと人形をつかんで私の手に押しつけた。「それじゃ、そこにあるタバコ全部ちょうだい」。
 私は10箱ほどのタバコを全部買い、もういくらだったか忘れたが、無事にドヴォルザークをゲット。おじさんはお金を受け取るやいなや、手早く店じまいを始めた。
 という、いわくつきの人形が今回の番組にチラッと出演。スタッフがうまく登場させてくれ、実直そうな表情の顔がアップされたという次第だ。
 今回の写真はそのドヴォルザークのお人形。これ、本当にいい表情しているでしょう。私が各地から買ってきたさまざまなグッズを飾っている飾り棚のなかでも、ひときわ存在感のある顔をしている。
| クラシックを愛す | 14:10 | - | -
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