Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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レイフ・オヴェ・アンスネス
 ノルウェー出身のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスは、初来日のときからずっと取材とインタビューを続けている。2007年のグリーグ没後100年のメモリアルイヤーのときにノルウェーに取材に行ったときもベルゲンで会い、話を聴いたり、コンサートに行ったりした。
 そんなアンスネスが9月に来日。このときの様子は以前ブログにも書いたが、インタビューも行った。これは今月発売の「モーストリー・クラシック」に掲載される予定である。
 アンスネスはずっとEMIで録音を行ってきたが、新たにソニー・クラシカルと契約を交わしたという。その第1弾として、ベートーヴェン・プロジェクトを考えているそうだ。
 これはピアノ協奏曲全5曲を彼の弾き振りで収録するもので、共演はマーラー・チェンバー・オーケストラ。2012年から3年がかりで取り組むことになっており、2012年秋にまず第1番と第3番を録音、2013年に第2番と第4番、そして2014年に第5番「皇帝」を録音する予定が組まれているという。
 そして2013年にはエサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニー管弦楽団と来日し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏することになっているそうだ。
 彼はいつもいま取り組んでいるプロジェクトについて熱く語ってくれるが、このときもベートーヴェンの各コンチェルトについていろんな話が次々に出てきた。アンスネスは決して雄弁なほうではなく、初来日のころはボソボソッと話していたが、何度かインタビューを続けているうちに、話が多方面に広がるようになった。
「だって、いつも日本にくるときみがこうして会いにきてくれるし、なんだか旧友に会った気持ちがするんだよ」
 ハイハイ、旧友ね。この話を友だちにしたら、「えっ、旧友。なんと色気のない。もっと色っぽいいいかたしてもらえるようにならなきゃダメじゃない」とズバリといわれてしまった。そんな無理ってもんでしょ(笑)。
 アンスネスは先ごろ娘が生まれ、もうメロメロ。「女の子が生まれると、父親はひたすら心配になるんじゃない」といったら、真顔でこんなことをいった。
「いまはまだ小さいからいいけど、もう少し大きくなったらヘンな虫がつかないように見守っていなくちゃならないよ。日本にくるのは時間がかかるし、長いツアーになるから、そうなったら遠くへの演奏旅行はできないなあ。家にいないとまずいし…」
 オイオイ、いまからそれじゃどうすんだ。困ったもんだなあ。
 アンスネスは実直で素朴で気どらないタイプ。音楽にもそれは現れているが、ふだんの彼も思った通りのことを真っ正直に話す。そして時折、あまり正直に話したため、しまったと思うのか、「ヘヘヘ」と苦笑いしながら「きみ、誘導尋問うまいねえ」などという。
 アンスネスは最初のころはホールが埋まらず、マネージメントも苦戦を強いられた。私は限りない才能を秘めていることに気付き、当初から「北欧のピカイチ」と太鼓判を押していたが、日本でその真価が認められるまで何年もの年月を要した。
 欧米では巨匠的な扱いを受け、演奏は高い評価を得ているにもかかわらず、国際コンクールの優勝者ではないからか、地味な存在だと思われているからか、人気が出るのが遅かった。そのころからこうした悩みを彼から聞いていたため、いま日本でも本来の実力が評価されるようになり、私は本当にうれしい。
 今日の写真は、そんなアンスネスのはにかみながらの笑顔。まだナマの演奏を聴いていない人は、ぜひ次回のベートーヴェンを聴いてほしい。きっとファンになると思うから…。

| 親しき友との語らい | 23:00 | - | -
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