Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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山本貴志
 ピアニストの山本貴志が2005年のショパン国際ピアノ・コンクールで第4位入賞を果たしてから、はや6年目を迎える。
 このコンクールを取材に行き、以後ずっとインタビューを行ったり演奏を聴き続けてきた私は、彼の常に前向きで真摯な姿勢に心が温まる感じがする。
 そんな彼が2012年に長野県須坂市文化会館メセナホール大ホールで、「山本貴志ショパン・チクルス〜ショパン物語」と題したシリーズを開催することになった。
 この話を聞くために先日インタビュー(「音楽の友」の現在発売中の号に掲載)をしたのだが、山本貴志はとても興味深いタイトルを教えてくれた。
 というのは、このシリーズは全8回で、ショパンの誕生日の3月1日にスタートし、命日の10月17日に最終日を迎える。彼は各回になんと、日本語のタイトルをつけていたのである。
 第1回から順に「煌」「躍」「詩」「彩」「麗」「想」「瞑」「魂」。そして各々に補助的な表記も付されている。
「溢れ出す生命の煌き」「躍動するリズム」「ピアノの詩人の言葉たち」「目くるめく色彩の世界」「麗しいサロンへのいざない」「孤独を癒す優しい想い出」「瞑想と静寂」「魂は遥かなる未来へと続いて」。
 なんとユニークなアイディアだろうか。ショパンの音楽を日本語で表記するとは…。
「これを考えるために一切仕事をせずに、かなり長い間集中しました。もっとも時間がかかったのは、タイトルに見合う作品をプログラミングしていくこと。作曲年代、内容、時代、作風、奏法などを考え合わせ、作品番号が付いた全作品を分類、組み立て、演奏時間も考慮して選曲していきました」
 まるでパズルを解いていくようでしたよ、と笑う山本貴志。それはそうでしょう、全作品をひとつひとつはめ込んでいくわけですからね。
 山本貴志の演奏はユニークな前傾姿勢が印象的で、集中力に富み、聴き手をその作品の内奥へと一気に引き込んでしまう強い引力を感じさせるもの。彼はコンクール時にとても人気があり、終演後の楽屋はいつもファンであふれていた。
 このシリーズもきっと人気を博すに違いない。須坂市のこのホールは、19年前に彼が長野県ピアノコンクールに参加し、初めて聴衆の前で演奏した記念の場所。そのホールでの全曲演奏ゆえに、気合いの入りかたも並ではないはず。ぜひ、長野県以外の人にも聴いてほしいと願う。
 東京から何人か集まってツアーのような形ができれば最高なんだけど…。だれか計画してくれないかなあ。
 今日の写真はインタビュー時の山本貴志。いつ会っても話がはずみ、おだやかな笑顔と熱く音楽を語る姿勢に魅せられる。6年もたっているのに、彼に会うといつしかワルシャワのあのときの情景がフーッと脳裏に浮かんできて、かの地へと思いが飛んで行くから不思議。

| 親しき友との語らい | 23:24 | - | -
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