Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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バーバラ・ボニー
 世界一美しいリリック・ソプラノといわれるバーバラ・ボニー。しかし、そのキュートな声とは裏腹に、冒険心旺盛な女性だ。
 彼女の得意とするオペラの役は数々あれど、1994年3月にウィーン国立歌劇場で聴いたクライバー指揮によるR.シュトラウスの「ばらの騎士」のゾフィーが忘れられない。このときはフェリシティ・ロット、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、クルト・モルら、当時考えられる最高の歌手陣が勢ぞろい。
 いま思い出しても心が高揚してしまうくらいだ。このライヴはDVDに残されているが、最高の「ばらの騎士」と称されている。
 インタビュー・アーカイヴの第28回はそのボニーの登場。ボーイッシュで凛とした美しさがあり、知的で人なつこく、とても魅力的な人だった。

[マリ・クレール 2003年2月号]

人のハートに触れる歌が歌えたら最高

 バーバラ・ボニーの歌声は透明感のある美しい高音が特徴。世界でもっとも優れたリリック・ソプラノ(叙情的な)といわれている。それゆえ、彼女にはオペラのかわいい女性役が多く回ってくる。
「昔からピンクの洋服を着るような役ばかり。声質によるのでしょうが、私自身はショートヘア、パンツ、ゴルフが大好きなタイプ。オペラを20年間歌ったときにもっと違う道があると思い、リート(歌曲)を始めたの。これが可能性を広めてくれた。ピアノ伴奏だけでずっと歌うのはキツイけど、作品は山ほどある。聴衆とのコミュニケーションも密度が濃いの」
 最近、シューマンの歌曲集「詩人の恋」を録音し、注目を集めた。なぜなら、これは男声用の作品だから。
「ハイネの詩は男性の愛を表現したものだけど、それを女性側からとらえるとまた違った魅力が出ると思ったの。私はいつもクラシック音楽の新しい顔を見出し、それに挑戦していきたいと考えている。でも、新しいことをするとヨーロッパではなかなか受け入れられない。冒険をするのも勇気がいるわ」
 ポニーのチャレンジ精神は、遠い祖先がビリー・ザ・キッドということにも関係あるのかもしれない。
「この話にはいろんな説があるのよ。本当はビリーを殺したほうらしい(笑)。でも、私は末裔だと信じている。冒険心は子ども時代から旺盛だったわ。ジュリー・アンドリュースの映画《サウンド・オブ・ミュージック》にあこがれ、髪を切ったりギターを習ったり。いつも何か新しいことを自分に課そうとしていた。
  ザルツブルクに留学したのは、チェロをもっと上達させたかったことと、ドイツ語を勉強するためだったけど、たまたまオペラのオーディションに受かり、オペラ歌手としてスタートすることに。オペラを長年歌ううちにまたチャレンジ精神が頭をもたげてきた。もっと聴衆とじかに向かい合いたい、ハートに触れる歌を歌いたいと思うようになったの。それでリートを歌う道を選んだの」
 ステージでは、故ダイアナ妃のデザイナーとして知られるエスカダの衣裳を着ることが多い。だが、ふだんはTシャツとジーンズばかり。趣味は、ボーイッシュな外見とは逆に女性らしい料理と手芸だ。
「私の職業は、空港や楽屋など待ち時間が長い。そういうときにはいつも刺繍をしている。頭が休まるから。家には年間40、50日しかいられないから、主人と一緒のときは料理三昧。そしてまた舞台へと飛び出すの」

 今日の写真はそのときの雑誌の一部。インタビューを終えて私がテレコを止めた途端、「もうオフレコね」といって、ジョークやここだけの話というのをたくさんしてくれた。女性にも男性にも愛される、素敵な人だ。

| インタビュー・アーカイヴ | 22:48 | - | -
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