Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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小山実稚恵
 小山実稚恵がアルバム・デビューを果たしたのは、1987年2月2日のことだった。ショパンのピアノ・ソナタ第3番をメインに据えた選曲だったが、あれから彼女は日本を代表するピアニストのひとりとして活躍、今年録音デビュー25周年を迎える。
「本当に早いですよねえ。なんだか、昔のアルバムのジャケット写真を見ると、恥ずかしくって…」
 ご自宅にインタビューに伺うと、彼女はいつもながらのおだやかな笑みを浮かべて、本当に恥ずかしそうに笑った。
 小山実稚恵は東北の出身ゆえ、震災以来「音楽の力を信じたい」「被災地に音楽を届けたい」という強い気持ちから被災地での演奏を続けている。
 そして25周年を記念した新譜も、幅広い人々が耳を傾け、音楽のすばらしさに触れることができるよう、ピアノの小宇宙のような作品を集め、大好きな16曲で構成した。
「ヴォカリーズ」と名付けられたアルバム(ソニー)は、初めての録音となるスカルラッティとシマノフスキが入っている。さらに彼女自身が北国の育ちゆえ、その空気の感触が自然に理解できるというロシア作品、さらに弾きながら胸がキューンとなってしまうというブラームス、これにリスト、ドビュッシー、シューマン、グラナドスなどが加わり、小品といえども聴きごたえたっぷりの作品がずらりと勢ぞろい。
 そして最後を飾るのは、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の第4番。これがフィナーレにふさわしい味わい深い演奏となっている。
「いま、私の思いの入る曲、心情を映し出す曲を選んだの」
 思えば、彼女がショパン国際ピアノ・コンクールで入賞した1985年から、私はピアノ雑誌の編集に携わるようになった。その意味で、彼女の成長は私自身の成長とも重なる感じがして、25周年と聞き、とても感慨深かった。
 このインタビューは次号の「intoxicate」に掲載される予定である。
 長年ひとりのアーティストの演奏を聴き続けるのは、いつも感じていることだが、そのアーティストの人生をたどることにつながり、意義深い。
 小山実稚恵の新譜を聴きながら、自分の仕事を振り返り、少しばかりノスタルジックな思いに駆られた。ふだんは過去を振り返らない主義だけど、今日はどうしたんだろう、これも音楽の力なのかもしれない。ちょっとおセンチ(笑)。
 今日の写真はインタビュー時の小山実稚恵。この横に愛する猫ちゃんがいる。写真には写らなかったけど。

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