Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルク
 毎年この時期になると、「東芝グランドコンサート」の日本ツアーが開催される。2012年のオーケストラは、1946年に設立された南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクで、指揮は2011年9月に首席指揮者に就任した、1971年フランス生まれのフランソワ=グザヴィエ・ロト。
 毎年このプログラムの原稿にかかわっているため、今夜は前半が萩原麻未のソロによるラヴェルのピアノ協奏曲、後半はマーラーの交響曲第5番というプログラムを聴きに出かけた。
 萩原麻未は、2010年11月のジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で優勝したときに、このラヴェルを演奏した。このコンチェルトはその意味で彼女の記念碑的な作品である。すでに各地で数多く弾いているだけあって、今夜の演奏も完全に手の内に入った演奏。彼女はインタビューのときに「第2楽章の中間部のイングリッシュホルンとピアノのやりとりの部分がすごく好き」といっていたが、まさに美しい音の対話を聴くことができた。
 そして、アンコールに登場したサン=サーンスの「トッカータ」が、萩原麻未の未来への大きな可能性を示唆していた。 
 後半のマーラーは、このオーケストラと早くも親密な関係を築いていることを示したマエストロ・ロトの本領発揮となった。
 ドイツ南西部に位置しているからか、このオーケストラの響きはとてもクリアで明るい。ロトの音楽作りは余分なことをせずに、真っ向勝負の正統的な指揮。両者は長い作品であるマーラーの交響曲第5番を一瞬たりとも飽きさせず、最後まで聴き手の心をひきつけ、終演後には大喝采に包まれた。
 マーラーの交響曲は聴き終わると心にずっしりと重く深い感情が残る場合が多いが、今夜の演奏は爽快感と充足感と作品の新たな面の発見をもたらしてくれた。
 ロトとオーケストラの生み出す音楽は、作品がいま生まれたばかりのような新鮮さを醸し出し、前向きで明快で音楽する喜びにあふれていたからだ。
 このオーケストラはいい指揮者を得たと思う。今後の歩みに大きな期待をもたせてくれる。ロトの世代のフランスの指揮者は各地で活躍しているが、みな新たな視点でオーケストラと対峙している。
 今日の演奏を聴いて、最近の指揮者の動向に目が離せなくなってきた。今年は各地のオーケストラがすばらしい指揮者と次々に来日する。集中して聴かなくっちゃね。
 今日の写真はコンサートでお会いした友人のKさんからいただいた手作りのバレンタインチョコレート。ご家族で作ったそうだ。素敵な箱に入っていて、とてもキュート。食べるのがもったいないくらいで、ずっとながめていたい(笑)。Kさん、ごちそうさま。「ありがとう」とご家族に伝えてくださいね。またまた、音と味のハーモニーに心が癒された。
実は、Kさんは萩原麻未の大切な恩師的存在。彼女にも同じチョコがプレゼントされたそうだから、私はピアニストと同じチョコをいただいたことになる。
 だからかな、味わっていると、ラヴェルの旋律が浮かんできたゾ(笑)。


 
 
| クラシックを愛す | 23:45 | - | -
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ
 今日は、ヴァイオリンのイザベル・ファウストとピアノのアレクサンドル・メルニコフのデュオを聴きに王子ホールに行った。
 これは今日から明後日まで行われるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会の一環で、今日は初日。プログラムは前半が第1番と第2番と第3番。後半が第9番「クロイツェル」だ。
 ベートーヴェンの初期の作品は、名手によって演奏されると、作品のすばらしさが浮き彫りになる。ファウストの気負いのない自然体の演奏、透明感のある美しい音色、ピリオド奏法を随所に感じさせる響きが秀逸。一方、メルニコフは真珠の粒がころがるような美しい音を聴かせたかと思うと、一気にドラマティックな表現を見せ、そのピアニズムは変幻自在。
 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、よくピアノ・ソナタにヴァイオリンが加わっているような作品だといわれるが、まさにメルニコフのピアノはベートーヴェンの意図するところを存分に汲み取り、作曲家の魂に近づいていく。
 私は室内楽が大好きなので、今夜は至福のひとときを過ごすことができた。
 とりわけ後半の「クロイツェル」は、装飾音の工夫や即興的な要素が随所に盛り込まれ、ふたりの個性的な「クロイツェル」に心が高揚する思いにとらわれた。
 イザベル・ファウストの実力は折り紙つきだが、ようやく日本でも彼女の真の実力が評価されるようになってきた。うれしい限りだ。
 メルニコフはヴァディム・レーピンと共演していたころから知っているが、いまや音楽が成熟し、自信がみなぎり、説得力が増した。彼はインタビューをすると、とてもシャイで真面目で、どちらかというと内省的な性格の人だが、ピアノに向かうと内に秘めた音楽に対する情熱が一気に爆発。もっともっと聴きたいと思わせるピアニストである。
 うーん、やはり息の合った音楽家同士の室内楽は最高ですなあ(笑)。ファウストはメルニコフにほれ込んで、他のピアニストは考えられず、ずっと彼とコンビを組みたいといっているそうだが、とてもよくわかる。
 また、すぐにでも他の作品を聴いてみたい!!
 
| クラシックを愛す | 00:03 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
26272829   
<< February 2012 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE