Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マティアス・ゲルネ 美しき水車小屋の娘
 これほど心に響くシューベルトの「美しき水車小屋の娘」を聴いたことはなかった。
 今夜は、紀尾井ホールでマティアス・ゲルネのシューベルト3大歌曲集連続演奏会の初日が行われ、「美しき水車小屋の娘」がうたわれた。
 冒頭の「さすらい」から、すでにゲルネのやわらかく温かく朗々と響く歌声は全開。ピアノのアレクサンダー・シュマルツがピタリと寄り添い、両者が一体となってヴィルヘルム・ミュラーの詩の世界を情感豊かに描き出していく。
 ゲルネは、ひとつひとつの歌詞を大切に、じっくりとていねいに掘り下げ、シューベルトのシンプルで清涼で自然を連想させる旋律を鮮やかに表現していく。
 ときにはげしく、迫力ある低音を響かせ、大きな目で聴衆に訴えかけるような歌唱を示し、またあるときは主人公の心の内を吐露するように感情をむき出しにし、さらに複雑な感情を内省的な歌声でささやくように表す。
 20曲を一瞬たりとも弛緩せず、彼は驚異的な集中力をもってうたい切り、そのあまりのすばらしさに私は席を立てないほどの感動に浸り、いまだ夢のなかにいるようだ。
 終演後、サイン会が行われている合間を縫って、先日のインタビューのお礼をいうと、大きな目をより見開いてにこやかな笑みを見せてくれた。
 彼はインタビューでは、「美しき水車小屋」について多くを語った。3大歌曲集のなかでは、もっとも遅く学んだ作品だそうだ。
 明日も、明後日も聴きに出かける。きっと、3日間、ずっと夢の世界にいるような気分に満たされるに違いない。
 今日の写真はサイン会の様子。手前がピアノのシュマルツ、奥がゲルネ。ドイツ・リートは男性ファンが多いようで、今日も結構男性が多かった。それとも、ゲルネだからだろうか…。

| クラシックを愛す | 22:36 | - | -
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