Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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伊藤恵
 ピアニストの伊藤恵と話すと、いつもいろんな方面に話題が広がり、インタビューということを忘れて、時間が過ぎても話し込んでしまう。
 今日は「CDジャーナル」のインタビューで、銀座の音楽事務所に出かけた。
 彼女に会うのは、久しぶり。最初は5月13日にリリースされる「シューベルト ピアノ作品集6」(フォンテック)と、4月29日に紀尾井ホールで行われる「新・春をはこぶコンサート 8年連続コンサート」の最終回(シューベルトのピアノ・ソナタ第19番、第20番、第21番)の話を聞いていたのだが、やがてそれがさまざまな方向に飛び火していき、ミュンヘン留学時代に聴いた偉大な音楽家たちの演奏からシューマンやシューベルトの作曲家への熱き思い、現代のピアニストたちの話、そして趣味の映画から読書までとめどなく広がり、あっというまに時間が過ぎてしまった。
 伊藤恵はいま哲学の本を読んでいるといい、その本に私も興味を抱き、さらに雑誌の編集担当のIさんも読書家ゆえ、またまた各地のこだわり書店の話まで拡散(笑)。
 だが、私はいつも伊藤恵の話を聞くたびに、真摯に作品と対峙している姿勢に感銘を受ける。彼女はそれがごく自然で、いかにも勉強していますという様子は見られない。本当にその作品が好きで好きでたまらない、という感じがひしひしと伝わってくるのである。
 こういう人が演奏するピアノは、聴き手をその作品の奥へと自然にいざなうもの。彼女はいまシューベルトに真っ向から向き合っているが、長年シューベルトは封印していた。ザルツブルク留学時代にザルツブルク音楽祭で聴いた、アルフレート・ブレンデルのシューベルト最晩年の第19番から第21番のピアノ・ソナタの演奏に大きな衝撃を受け、命を削るようなその演奏に涙が止まらなかったという。そのシューベルトを聴き、自分はなんて甘かったのだろうかと考え、長年シューベルトを弾くことはできなかった。
「ようやく8年前に封印を解いたのですが、弾けば弾くほど奥が深く、生涯学び続けなくては、と思います」
 こうした話が次々に現れ、本当に内容の濃いインタビューとなった。もちろん書店の話などにも広がったが、基本は音楽の話から逸れていない。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。シューベルトの新譜もリサイタルも、本当に楽しみだ。
「私も命を削るような演奏をしたい」
 最後にこう語った彼女の表情が忘れられない。


 
| 親しき友との語らい | 22:46 | - | -
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