Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

クリスチャン・ツィメルマン
 クリスチャン・ツィメルマンの今回の日本公演は、2015年11月19日から開始し、2016年1月18日まで続く。
 昨年の12月11日の東京文化会館大ホールでのリサイタルは、体調不良でキャンセルとなったが、実はこのプログラムの原稿を書いたため、主催者の都民劇場の担当者から「幻のプログラムとなってしまいました」といわれた。
 このときは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番とシューベルトのピアノ・ソナタ第21番という組み合わせ。
 そして今夜は、サントリーホールでリサイタルが行われ、まずシューベルトの「7つの軽快な変奏曲」からスタートした。
 ツィメルマンはかろやかにおだやかに、シューベルト13歳の作(真偽のほどは明らかではない)といわれる愛らしい曲想を慈しむように弾き進めた。
 次いで、シューベルトのピアノ・ソナタ第20番が登場。
 ツィメルマンは全編にただよう抒情性と自由闊達な即興性、印象的な和声をていねいに、じっくりと弾き込んでいく。
 後半のシューベルトのピアノ・ソナタ第21番も同様だが、ツィメルマンのモットーである演奏に対する完璧性は、シューベルト最晩年の孤高の世界、幻想的で構築性に富み、繊細さと芯の強さが共存する作品すべてに息づく。
 ひとつひとつの音があるべき形で存在し、1音たりとも気を抜かず、細部まで神経が行き届き、完全主義者ならではの美学を描き出していく。
 とりわけ印象的なのが、弱音の浸透力の強さ。単なる弱い音ではなく、サントリーホールの隅々まで、ピーンと張りつめた空気に乗って弱音が飛翔していく。
 シューベルトの後期のソナタは、ピアニストにとって非常に高い頂に位置する作品である。
 ツィメルマンは、ひとつの作品をステージに乗せるまで、最低10年はかけるとインタビューで語っていた。
 磨きに磨き、練りに練ったシューベルト。その研鑽と鍛錬と研究の成果が、今夜のステージで披露された。
 新年最初に聴いた演奏会だったが、会場ではいろんな人にも会うことができ、有意義なひとときとなった。
 金子三勇士にも久しぶりに会い、近況を聞くことができた。
 いよいよ2016年のシーズンの始まりである。
 
 
| クラシックを愛す | 23:55 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< January 2016 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE