Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

ニコラス・マッカーシー
 今日は、すばらしく心に残ることばを聞いた。
「Anything is possible」
 すべては可能だ、不可能はない、という意味だろうか。
 1989年ロンドン郊外に生まれた「左手のピアニスト」、ニコラス・マッカーシーのモットーとすることばである。
 マッカーシーは2015年9月、「ソロ〜左手のためのピアノ編曲集」(ワーナー)でデビューした。このアルバムは、マッカーシーが夢中になったというルドヴィコ・エウナウディの曲からスタート。有名なオペラのアリアが続き、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、リストの「愛の夢」、ショパンの「別れの曲」や練習曲などが収録されている。
 彼は先天的に右腕がひじの下の長さまでしかなかったが、子どものころから電子ピアノで遊び、やがて苦労の末にロンドンのギルドホール音楽演劇学校、王立音楽大学に進み、ピアニストとして活動するようになる。
 1月20日には日本盤がリリースされ、今日はブルーローズ(サントリー小ホール)でコンベンションが行われた。
 新譜のなかからショパンやリストの作品などが演奏されたが、左手による演奏はとてもエネルギッシュでパッションにあふれ、ひたむきさが感じられた。
 彼はステージ上のインタビューで、ピアノを始めたころから現在にいたるまでの話をしたが、苦労したこととか、辛かったことなどはまったく口にせず、「いま、ここで演奏できることがとてもうれしい」と語った。
 その話のなかで、上記のことばが出てきたわけだが、障害をもって生まれてきたものの両親がとても強い人間ゆえ、自分もまっすぐに前を向いて歩み、何でも可能にしてきたという。
 マッカーシーは、「ぼくがピアノを弾くのは、聴いてくれる人とコミュニケーションを取りたいから」と話した。そして、「音楽にはその力がある」と信じているようだった。
 まさに、音楽の力に触れたひとときとなった。
 子どものころ、「ニコラス、自転車には乗れないねえ」と友だちにいわれると、必死で練習して自転車に乗れるようになったとか。「コンサート・ピアニストにはなれないかも」といわれると、絶対にコンサート・ピアニストになると心に誓い、ものすごい練習を自分に課したという。
 これまで3つのうれしいことがあり、ひとつは王立音楽大学の130年の歴史のなかで、初めて左手だけでピアノ科を卒業した学生となったこと。
 ふたつ目は、2012年にロンドンで行われたパラリンピックの閉会式で、約8万人の観客の前でコールドプレイと一緒に演奏したこと。
 そして3つ目は、「今日、こうして日本のみなさんの前で初めて演奏できたこと」と語った。なんと感動的なのだろう。このことばを聞いて、またもや感極まってしまった。
 コンベンション終了後に、彼とじかに話をしたのだが、私が今日のブログに登場してもらうと話したら、人なつこい笑顔で「ウワーッ、うれしい。ありがとう」といっていた。
 今日は、いろんな音楽事務所の人たちが聴きにきていた。ぜひ、近いうちに来日公演が実現することを願う。
 今日の写真は、演奏後のニコラス。この人の顔、だれか俳優に似ているんだけど、思い出せないなあ。だれでしょう?



 
 
| アーティスト・クローズアップ | 23:24 | - | -
ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン
 今日はダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの来日公演が、サントリーホールで幕を開けた(2月9日〜20日サントリーホール、18日ミューザ川崎シンフォニーホール)。
 今回のツアーはブルックナー・チクルスが組まれ、交響曲第1番から第9番までが順番に演奏される。
 今日はまず第1番が演奏されたが、この作品はなかなかナマで聴くことはできず、貴重な機会となった。
 ブルックナーは作品の改訂を施すことが多く、版も複数存在することで知られるが、今日の第1番は若きブルックナーが生み出したリンツ稿が用いられた。
 シュターツカペレ・ベルリンはベルリン国立歌劇場付属のオーケストラで、450年近い歴史を有する伝統に根差したオーケストラ。弦楽器群がとても豊かな響きを備え、管楽器もまろやかで、しかも力強い。
 バレンボイムは1992年からベルリン国立歌劇場の音楽総監督を務め、2000年には終身首席指揮者に任命されている。
 今回のプログラムは、バレンボイムの弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲がブルックナーの前に演奏される日が多く、今夜はピアノ協奏曲第27番が組まれていた。
 バレンボイムは、最近ピアノを弾くことが多い。一昨年ベルリンでインタビューしたときにも、「いま、とてもピアノが弾きたいと思っている」と話していた。最近では、同郷のアルゲリッチとも共演しているほどだ。
 今日のピアノの弾き振りも、実に自然で嬉々とした演奏。ピアノと指揮、この両面がたっぷりと披露できる今回のプログラムは、バレンボイム自身がいまの心身の充実を存分に発揮できるものとして、心から楽しんでいるのではないだろうか。
 なお、2月23日の金沢、24日の広島、25日福岡公演は、バレンボイム、ハイティンクがその才能を認めている若き俊英、ダーヴィト・アフカムが指揮を担当することになっている。
  
| クラシックを愛す | 00:00 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
2829     
<< February 2016 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE