Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン
 昨夜は、王子ホールで行われたアリーナ・イブラギモヴァとセドリック・ティベルギアンのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会(全5回)の第4回を聴きに行った。
 以前、ふたりに別々にインタビューしたときに語っていたことだが、彼らはこの全5回のプログラムを決めるのに、丸2日を要したそうだ。
 有名な作品ばかりではなく、あまり演奏される機会に恵まれない作品、モーツァルトの幼少期の作品を加え、作曲家の新たな面を浮き彫りにしたいと願ったからだ。
 作品の長さ、調性、関連性、内容、バランスなどを考慮し、まるでパズルを解くような思いでひとつひとつの作品を弾いてはディスカッションし、5回分のプログラムを作っていったという。
 昨夜の第4回は、前半がソナタ第33番、第3番、6つの変奏曲、第27番で、後半が第38番、第8番、第13番、第11番、第34番。
 確かに、ふだんほとんど耳にすることのできない作品が多く、それらに果敢に挑戦するイブラギモヴァとティベルギアンの意欲的な姿勢が音楽全編にみなぎっていた。
 彼らはこれまでラヴェル、ルクー、シマノフスキ、ベートーヴェンなどで共演を重ねているが、このモーツァルトに関しては、「いま、ふたりの気持ちが自然にモーツァルトに向いてきた」ため、チクルスを組むことになったのだという。
 今回、特に印象的だったのは、モーツァルトが7〜9歳のころに書いたソナタ。モーツァルトの音楽を世の中に広めようと、家族が計画した旅行の最中に書かれた作品で、才能の豊かさ、躍動感あふれるリズム、みずみずしい旋律、あふれんばかりの楽想が遺憾なく発揮され、改めて神童モーツァルトのすごさを思い知った。
 モーツァルトはピアノもヴァイオリンも演奏したからか、両楽器の音の対話、微妙な駆け引き、お互いの音の聴き合い、そしてふたつの楽器の融合が実にナチュラルな形で綴られている。
 この日は、通常の19時開演だったが、終演は21時30分を過ぎていた。
 最後の曲は、有名なソナタ第34番。傑作と称される作品で、冒頭からモーツァルトならではのかろやかで明るく晴朗な空気がただよう。
 そのなかに短調の翳りが見え隠れし、えもいわれぬ憂愁の香りが立ちのぼっていく。
 イブラギモヴァとティベルギアンは、今後もまた異なる作品で来日公演が予定されているようだ。詳細が発表され次第、紹介しますね。
 今日の写真は、終演後、ロビーでサイン会に臨むふたり。この日は申し合わせたのか、白を主体に、黒をアクセントに用いた衣裳だった。



 
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