Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ドミトリー・マスレエフ
 今年は、昨年の国際ピアノ・コンクールの優勝&入賞者の演奏を聴く機会が多い。
 今日は、チャイコフスキー国際コンクールの優勝者、ドミトリー・マスレエフのリサイタルを聴きに、浜離宮朝日ホールに出かけた。
 彼には昨年の来日時にインタビューを行い、今回の来日公演のチラシをはじめ、さまざまなところで記事を書いてきた。
 昨年8月に聴いたのは、ゲルギエフ指揮PMFオーケストラとの共演によるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で、リリカルな面と楽器を大きく豊かに鳴らす面の両面を披露し、優勝者としての底力を見せつけた。
 さて、デビュー・リサイタルはどうだろうと、大きな期待を抱いてリサイタルに臨んだ。
 まず、オープニングのJ.S.バッハのパルティータ第1番で、私は彼の真の実力を知る思いに駆られた。
 1音1音が磨き抜かれ、説得力があり、バッハの様式をピアノで見事に表現していたからである。
 次いでシューマンのピアノ・ソナタ第2番、シューベルト/リストの「水に寄せて歌う」、リストの超絶技巧練習曲集第8番「狩」と続く。
 まさにロシア・ピアニズムを体現し、隅々まで神経を張り巡らした繊細で情感豊かな表現と、けっして鍵盤を叩くことなくピアノを豊かに鳴らす術を遺憾なく発揮。「新たな才能の発見」に心が震えた。
 昨年のチャイコフスキー・コンクールは、輝かしい未来を予感させる才能が多く現れ、多くの入賞者が個性を生かし、コンクール後の活躍が目立つ。
 だが、優勝者のマスレエフは、特別な才能の持ち主のようだ。
 ベレゾフスキーもゲルギエフも絶賛しているように、彼の磨き抜かれたバランスのとれたテクニックは比類ない。何より、音に説得力があり、迷いがない。
 後半は、チャイコフスキーの18の小品から4曲、メトネルの「忘れられた調べ」第1集より第1番「追想のソナタ」と続き、最後はサン=サーンス/リスト/ホロヴィッツの「死の舞踏」でヴィルトゥオーソ的な演奏を繰り広げた。
 そのあとが、またすごい。アンコールを6曲も演奏したのである。
 私はのこのなかで、とりわけスカルラッティが心に響いた。ものすごく速いテンポで演奏されたため、あっというまに終わってしまったが、本当はもうちょっとゆっくり弾いてほしかったな(笑)。
 マスレエフの演奏は、とにかくテンポが速い。しかし、どんなに急速なパッセージも弾き飛ばすことはなく、音がクリア。もっとも印象的なのは弱音の美しさで、叙情的な曲想の奏法が際立っている。
 近年、若手ピアニストの演奏はずいぶん聴いてきたが、ラファウ・ブレハッチを初めて聴いたときの衝撃に次ぐ感銘を受けた。
 ぜひ、近いうちにまた異なる作品をたっぷりと聴きたい。
 今日の写真は、演奏後のマスレエフ。終演後、楽屋に戻るなり、「メガネ、メガネ」といいながらメガネを探しに部屋に入っていった。
 どうやら、ふだんはメガネが離せないようだ。
「写真撮りたいけど、メガネをかけたままでいいの?」と聞くと、「うん、もちろん」との答え。これがふだんの表情です。
 もう1枚は、アンコールの曲目リスト。ねっ、すごいでしょう。時間に余裕があれば、まだまだいろんな曲を弾きたい、という感じだった。
 スリムなからだのどこにそんなエネルギーが??




 
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