Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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樫本大進&アレッシオ・バックス
 いま、樫本大進とアレッシオ・バックスの日本ツアーが行われている(7月8日〜17日、全8公演)。
 昨日は東京オペラシティ コンサートホールでデュオ・リサイタルが開かれた。前半はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ ト長調 K301からスタート、次いでブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」が演奏され、後半はシマノフスキの「神話―3つの詩」から始まり、最後はグリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番で幕を閉じるという趣向である。
 デビュー当時からずっと聴き続けている大進の音楽。これまで幾重にも変容を遂げ、さまさまなプログラムで底力を発揮してきたが、今回のバックスとのデュオでは、音色の芳醇さが際立っていた。
 私は、グリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番を聴くと、2007年に訪れたノルウェー・ロストフースのグリーグの作曲小屋が脳裏に浮かんでくる。
 鏡のようなえもいわれぬフィヨルドの美しさ、夏なのに冷涼な空気、初めて経験する静けさ、その場にグリーグがいるような雰囲気を醸し出している作曲小屋など、グリーグの音楽とともにさまざまな景観が蘇ってくるのである。
 これが、音楽のもつ不思議な力だといえるかもしれない。
 デュオというのは共演者によって、大きく演奏が異なる。これまで大進はコンスタンチン・リフシッツとの共演が多かった。リフシッツはときに狂気を感じさせるような、極度の集中力に富んだ演奏をするピアニスト。
 今回のバックスとの共演は、ヨーロッパでは何度も共演しているそうだが、彼は抒情的でバランスのとれた演奏をするイタリア出身のピアニスト。浜松国際ピアノコンクール、リーズ国際ピアノコンクールの優勝者という実力派である。
 バックスは、美しく情感あふれる音色の持ち主だが、もっとも印象に残ったのは、ピアノに向かう美しい姿勢。背筋をピンと伸ばし、脱力のできた自然な奏法でピアノを自在にうたわせる。どんな強音でも、姿勢はけっして崩れない。ルービンシュタインの映像を連想してしまった。
 このコンビで、ぜひブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲を演奏してほしい。そんな思いに駆られた。
 今日の写真は、終演後、汗びっしょりのステージ衣裳から着替え、リラックスした表情のふたり。





 実は、アレッシオ・バックスが2004年にレコーディングした「バロック・リフレクションズ」(ワーナー)が来日記念盤として再リリースされたのだが、このCDのライナーノーツを担当した。バッハやグルック、ラフマニノフなどの作品がバックスの美しい音で紡がれている1枚だ。


 
 
 
 
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