Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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リスト・イヤー
 毎月のことだが、月末から月初めにかけては原稿の締切りが集中し、ほとんどトランス状態に陥る。
 いま抱えているのは、今年生誕200年のメモリアルイヤーを迎えたフランツ・リスト(1811〜1886)の原稿。各雑誌ともリスト特集を組み、この作曲家のあらゆる面をクローズアップした内容を組んでいる。リストその人の紹介だったり、CDだったり、曲目解説だったり…。
 メモリアルイヤーにはその作曲家の作品を収録したCDが多く登場し、またコンサートでも数多く演奏される。その作曲家をより詳しく知るチャンスの年となるわけだ。
 だが、アーティストにその話をすると、ほとんどの人が「メモリアルイヤーなんて関係ないよ」「私にとっては、毎年がベートーヴェンの年であり、ショパンの年であり、モーツァルトの年なんですよ」と異口同音に語る。ときどき、「私はメモリアルイヤーの年には、あえてその作曲家の作品は弾かないようにしている」と答えるあまのじゃくな人もいるくらいだ。
 しかし、昨年のショパン・イヤーは世界中がこの作曲家で盛り上がった。今年はどうだろうか。
 さて、そんな原稿に追われているときに限って、テニスのオーストラリアン・オープンが開催されている。私は1999年からスイスのロジャー・フェデラーを応援している。最初はいまのように顔色ひとつ変えない落ち着いたマナーの選手ではなく、コートでも大声で叫ぶ、ラケットはたたき壊す、審判に食ってかかる、アンフォーストエラーをするとキレる、というタイプだった。
 しかし、初めてヨーロッパのテレビでプレーを見たときから、そのしなやかなアーティスティックなプレーに魅了されてしまった。以来、ずっとフェデラーひと筋。2006年に初来日し、有明コロシアムでプレーをしたときには、仕事そっちのけで飛んで行った。幸い、とてもいい席が確保でき、フェデラーのすね毛まで見えるような近い場所で観戦できた。
 優勝後、インタビュールームに入っていく彼を近場でながめることもできて、至福のひとときを過ごしたものだ。(なんというミーハー)
 その話を女性誌の担当者に話したら、以後、彼女は私に送るメールには必ず「フェデラーのすね毛ウォッチャー 伊熊さま」とタイトルをつけてきた。まいりましたね(笑)。それだけ近い位置だったといいたかっただけなのに。
 というわけで、今回もずっと原稿の合間を縫ってはフェデラーの試合をちらちらと見ていたのに、昨夜準決勝で敗れてしまった。なんというショック。しばらくは何も手につかなかった。
 でも、こうなったら、もう仕事に集中するしかないな。また、次に期待しよう。ポール・アナコーン・コーチ、指導よろしく!
 今回の写真はその有明コロシアムで撮った1枚。ああ、美しかったなあ。私はフェデラーのようにバックはシングルハンドの選手が好きで、グラフもそうだったし、エナン、ガスケ、バブリンカ、みんな打ったあとの姿が実に美しい。
 なあんて寄り道していたら、原稿の催促がいくつもメールに入ってきた。担当のみなさま、遅れていてごめんなさい。もう私のオーストラリアン・オープンは終わったので、集中します。朝も夜も関係なく、土曜日も日曜日も休日返上でパソコンと仲良くしますから、許してね。
 今回は若き才能のライナーノーツもふたつ書き上げた。ひとりはすでに有名になった15歳のピアニスト、小林愛実の第2弾(EMI)。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」と第23番「熱情」、シューマンの「子供の情景」を収録している。またもやすごい集中力を感じさせる意欲作だ。
 もうひとりはウィーン留学中の17歳のピアニスト、諸戸詩乃。彼女はこの若さでシューベルトの「即興曲作品90」と「楽興の時」を録音しているから驚きである(カメラータ)。全編に詩情があふれ、とてもみずみずしい演奏に仕上がっている。
 さて、次の原稿にかかる前に大好きな紅茶を飲もうかな。と、また中断。私は紅茶に目がなく、お取り寄せで世界各地の紅茶を楽しんでいる。以前、ロンドンでヴァイオリニストのナイジェル・ケネディにインタビューをしたとき、彼は日に20杯くらいの紅茶を飲むといっていた。それにより、脳が覚醒するのだそうだ。私も脳を覚醒させて、さあ、もうひとふんばり。

| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:17 | - | -
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