Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< チョ・ソンジン | main | かつお菜 >>
近藤嘉宏
 今日は、久しぶりにインタビューをするため、ピアニストの近藤嘉宏に会った。彼は3年ほど前に体調を崩し、かなり長い間ピアノが十分に弾けない状態だったが、いまはすっかり元気を取り戻した。
 体調を崩したときは胃もやられ、毎日おかゆとゆでたキャベツだけを食べ、短期間で8キロもやせてしまったそうだ。ようやく治って初めて食べた普通の食事は、「豚肉の生姜焼き」。感動するおいしさだったとか。以後、豚肉が大好物、あとは野菜があれば満足。
「その両方が食べられる豚のしゃぶしゃぶが一番好きですね」
 近藤嘉宏とは、彼がデビューしたころからのつきあいで、長年演奏を聴き続けている。今回は、2009年から始まったベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音の話が中心となった。
 実は、その第3弾のライナーノーツを書き、事前にしっかり音源を聴いてあったため、対話がはずんだ。第3弾はピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、第23番「熱情」、第24番という組み合わせ(ベルウッド・レコード 3月23日発売)。特に各々のソナタの緩徐楽章(第2楽章)が心に響く美しさ。その楽章の話になったら、彼の目は輝きを増し、早口になり、ベートーヴェン論が止まらなくなった。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」(タワーレコード)に掲載される予定である。
 彼は1991年にミュンヘン国立音楽大学に留学し、2年間ゲルハルト・オピッツに師事し、ベートーヴェンの真髄を学んでいる。そのオピッツは名ピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプからベートーヴェンの精神を学んだ。オピッツにインタビューしたさいに聞いたことでは、ケンプは、ベートーヴェンの堅固な構築性を持つ作品のなかにも自由に解釈する部分が多々あることを教えてくれ、勇気を持って自分のベートーヴェンを演奏しなさいといったそうだ。
 近藤嘉宏はそのケンプの演奏を昔から愛聴してきた。まさに伝統は受け継がれ、ケンプからオピッツへ、そして近藤へと作品が内包する精神がバトンタッチされている。
 近藤嘉宏と私の共通項は、「クラシック音楽を広めたい」という気持ち。彼はデビュー当時から目標を達成するために自分ができることは何でもやるという腰のすわったタイプで、こんなことを語っていた。
「最近はアカデミズムが過度に強調されていると思うんです。昔はルービンシュタインやホロヴィッツをはじめ演奏家は非常に個性があり、その人の演奏を聴きたいという強い気持ちでみんなホールに足を運んだ。それが徐々に演奏家ではなく、人々の興味がアカデミズムのほうに流れてしまったんですね。ぼくはもっと演奏家が主体となり、演奏で聴衆を魅了しなければいけないと思う。そうしないと音楽を楽しむ文化が根付かない。その一端を担うのが目標であり、夢なんです」
 その考え、大賛成。初心を貫き、夢に向かってゴーゴー!

| 親しき友との語らい | 23:30 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE