Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ユリアンナ・アヴデーエワ | main | ルチアーノ・パヴァロッティ >>
赤坂達三
「クラリネット界の貴公子」と呼ばれる赤坂達三も、長年インタビューを続けているアーティストのひとりである。
 彼は長年フランスで研鑽を積み、フランス作品をこよなく愛してきた。2010年はデビュー20年の記念の年にあたり、6年ぶりにリリースした新譜「オマージュ・ア・パリ」(ソニー・ミュージックダイレクト)は、やはり自身の根源であるフランス作品を選曲した。
 ガロワ=モンブラン、ラボー、プーランク、リュエフ、サン=サーンス、ドビュッシー、オーリックというこだわりのプログラムで、本人いわく、「ひとつずつにさまざまな思い出が詰まっている」という。
 このCDのライナーノーツを書くことになり、じっくりと演奏を聴いたが、超絶技巧を要する作品がずらりと並んだにもかかわらず、演奏はすこぶる自然体。全体にロマンがあふれ、エレガントで絵画的な色彩感にも満ちている。
「音楽家として、最盛期のいましか残せないであろうと思う作品だけを選びました。これまでさまざまな作品を演奏してきましたが、自分のルーツを考えるとき、やはりフランス作品だと思ったのです。以前はひたすら練習し、力ずくでがむしゃらな演奏をしていた時期もありましたが、いまはそれから脱却しました。現在の赤坂達三を聴いてほしいですね」
 まさに、ここには余分な力の抜けた、音楽のすばらしさを聴き手を分かち合おうとするひとりのアーティストが存在する。クラリネットの響きが、幾多の言葉より雄弁に語りかけてくるからである。
 私は赤坂達三に会うと、いつも昔聞いた話を思い出す。彼はバレエが趣味だと語ったのである。バレーボールではありませんよ、踊るバレエです。からだを鍛えるために始めたといって、階段があると爪先立ちでツツーっと上り詰めるというから驚いたものだ。
 でも、いまはもうその話は出てこなくなった。もうひとつの趣味は「温泉巡り」。これも現在はやめて、ひたすら練習に打ち込む生活になったとか。
「生涯、勉強を続けないと…」
 おだやかな笑みを浮かべた貴公子がこういうと、ホント、説得力がある。そう、だれしも生涯勉強を続けないとダメよね。
 彼の素顔はハングリー精神(これってもう死語かな)に満ち、内に秘めた音楽への闘志は強い。外見のたおやかさと、実際の芯の強さ。そのコントラストが絶妙だ。
 このインタビュー記事は「婦人公論」の2010年10月22日号に掲載された。
 今日の写真は、25年来の友人でパリ音楽院の仲間でもある共演のピアニスト、浦壁信二との録音は「すごく楽しかったよ」といっているときの表情。

 
| アーティスト・クローズアップ | 22:11 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE