Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ロバート・レヴィン
 アメリカ出身のロバート・レヴィンは、いくつもの顔を持つ音楽家である。モダンピアノのみならず、チェンバロやクラヴィコード、フォルテピアノなどのピリオド楽器とオルガンを演奏し、編曲者、音楽学者、さらにモーツァルト関連文献の著者でもある。
 そんな多彩な肩書を持つ人は、さぞ堅い話をするのではないかと思われるが、実はモーツァルトのように陽気でオープンでジョーク好き。
 雑誌「ムジカノーヴァ」の2011年1月号にインタビューが掲載されたが、そのときは時間がたりないほど雄弁にさまざまなことを語ってくれた。
 もっとも印象的だったのが、「モーツァルトの作品を演奏するときには、左手が非常に大切だ」という話。ピアノ・ソナタもピアノ協奏曲もキャラクターが瞬時に変化していくが、それは左手の変化に表れていることが多いという。この話になったとき、レヴィンは膝を乗り出し、手の表情も加え、あたかも自分がモーツァルトになったように生き生きと語り出した。
 彼のマスタークラスやあらゆる講習会は世界各地で多く行われているが、生徒が押し寄せ、弟子入りを望む人も後を絶たない。現在はハーバード大学人文学部教授を務めながら、精力的に各地を回っている。
 よく、留学するときにその土地ではなく、いい先生がいる学校を選ぶというが、ロバート・レヴィンのような先生に師事したら、きっとレッスンも楽しくて仕方がないという感じになるのではないだろうか。
 もうひとつ、印象に残った言葉が「レッスンには、その生徒が一番好きな作品を持ってきてもらう」と語ったこと。好きな作品であれば、生き生きと演奏できるから。その演奏を聴きながら、よりよい面を引き出していくのだそうだ。
 レヴィン自身の演奏は、「もしも、モーツァルトであれば、こう弾いたであろう」と評されている。
 彼のモーツァルト好きは、幼いころに「モーツァルト狂いだった」という父親がいつもレコードを聴かせてくれたことが大きく影響しているという。やはり子ども時代の環境は大切なのだと実感。それがその人の将来を決めることになるのだから、親の役割は本当に大きい。
 レヴィンは「私は音楽を愛し、生徒を愛し、ピアノを愛しているんですよ」とにこやかな笑顔を見せた。うーん、こういう言葉をサラリと口にすることができるのが、この人の強み。偉大な演奏家で学者なのに、話は実にシンプルで自然で端的。そう、これこそモーツァルトの音楽にもっとも必要な要素。レヴィンに会った後は、なんだか心がとてもかろやかになった。




 
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