Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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諸戸詩乃
 昨夜は、諸戸詩乃のデビュー・リサイタルを聴きに行った。
 1993年生まれの彼女は10歳からウィーンで勉強し、2009年に「モーツァルト:ピアノ・ソナタ集」(カメラータ)でCDデビューを果たしている。
 実は、第2弾となる「シューベルト:即興曲集作品90&楽興の時作品94」のライナーノーツを書き、素直でピュアな演奏に心惹かれていたため、ぜひナマの演奏が聴きたいと思い、リサイタルに足を運んだ。
彼女に寄せる期待は、2月24日の「日経新聞」夕刊の「世界に羽ばたく10代の実力派たち」と題した記事で、ピアノの小林愛実、ヴァイオリンの三浦文彰とともに綴った。
 リサイタルのプログラムはモーツァルトのピアノ・ソナタ第12番から始まり、シューベルトのピアノ・ソナタ第13番と「即興曲作品90」をはさみ、リストの「巡礼の年第3年」の第2曲「エステ荘の糸杉に寄せて−哀歌Ι」、第4曲「エステ荘の噴水」で幕を閉じるという趣向。
 背筋をピンと伸ばした美しい姿勢でピアノと対峙し、クリアな響きを特徴とする演奏は、清涼でひたむきでみずみずしい。これから幾重にも変貌していく大きな可能性を秘めたピアニズムである。
 とりわけCDにも収録したシューベルトの「即興曲」が弾き込まれた演奏で自信を感じさせ、シューベルトの歌心を素直にとらえた演奏だった。ピアノはベーゼンドルファーで、シューベルトのピアノ・ソナタの緩徐楽章の幻想的なアンダンテが、そのニュアンス豊かな音色をよく生かしていた。
 この日のアンコールはシューベルトの「楽興の時」第1番。彼女が師事した著名なピアニストで教育者でもあるハンス・ライグラフが2月12日にスウェーデンで亡くなったことに対し、追悼の意味を込めて、ライグラフが大好きだったというこの作品が演奏された。
 若いアーティストの演奏は、何年か聴き続けていくことに意義がある。諸戸詩乃の演奏も、数年後には大きく変化するに違いない。それを楽しみにしたい。
 今日の写真は、終演後の楽屋で撮ったもの。美しい白いドレスに身を包んだ彼女は、リサイタルを終えて晴れやかな表情を見せていた。
 ライグラフ先生について聞くと、一瞬表情を曇らせながら、こんな答えを戻してくれた。
「とても誠実で、本当にすばらしいかたでした」


 
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