Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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プラシド・ドミンゴ
 地震の影響でコンサート中止が続くなか、うれしいニュースも届いている。
 ズービン・メータがNHK交響楽団を指揮してチャリティー・コンサートを行い、ベートーヴェンの交響曲第9番を演奏することが決まった(4月10日、東京文化会館)。
 マルタ・アルゲリッチも5月8日から19日までの「別府アルゲリッチ音楽祭」を通常通り開催するために来日し、8日には「ピノキオコンサートスペシャルatホテルオークラ東京〜子どもと大人のための音・学(おんがく) ピアノ界の巨匠 マルタ・アルゲリッチが贈るメッセージと音楽〜」と題した公演を行うことになった。
 そして親日家で知られるプラシド・ドミンゴは、4月10日(NHKホール)、13日(サントリーホール)に開催される「プラシド・ドミンゴ コンサート イン ジャパン 2011」で歌うため、来日することを発表した。まさに勇気づけられるニュースだ。私は13日に聴きに行くことになっているが、きっといつものコンサートとはまったく異なり、心に強い印象をもたらすものになるに違いない。
 そこで、「インタビュー・アーカイヴ」第4回はドミンゴの登場。彼には何度かインタビューをする機会があったが、常にサービス精神旺盛、雄弁でおおらか。会った人をみな幸せな気分にさせてしまう天才だ。

[フィガロ・ジャポン 1995年11月20日号]

3大テノール日本公演

オペラ・ファンが待っていた世界ツアーが日本からスタート!

「まだプログラムはまったく決まっていないんですよ。でも、パヴァロッティは絶対『だれも寝てはならぬ』は私とカレーラスには歌わせないし、私たちだってパヴァロッティには『グラナダ』は渡せない、という暗黙の了解みたいなものはあるんです。あとはたくさんのオペラや民謡、歌曲のなかから自由に歌いたいものを持ち寄って、喧嘩しながら決めるといった感じかな」
 8月に来日したドミンゴは、来夏のツアーに関して笑いながらこう語った。
 彼らはレパートリーが似通っている。それゆえライバルなどといわれた時期もあったが、現在はよき友。一緒に歌うと相手の体調を気遣うという。

世界最高峰の歌手が織りなす、上質なステージは楽しさの極致

「テノールというのは、のどを大切にしないと長年歌えない。若いころはかろやかで叙情的な役を歌っているんだけど、だんだん重く劇的な役を歌うように声が変化していくのがふつう。だから3人ともいまではかなりドラマティックな重い役を歌っているんだよ」
 この3人、ひとくちにテノールといってもまったく歌いかたも声質も異なる。
パヴァロッティは天性の美声を持って生まれてきた人で、のびのある明るい声が特徴。カレーラスはひたむきな歌唱、全力投球型の演技で母性本能をくすぐる。そしてドミンゴはまるで俳優のような存在感と、迫力ある歌声で聴き手の心をとらえる。彼はオーケストラの演奏が始まる数分間で、ストンとその役になりきる名人である。
「オペラの舞台では完全にその役になって歌うからいいけど、こういう3人で一緒にいろんな曲を歌う場合は、瞬時に役になりきるのがとても難しい。でも、それがオペラ歌手としての醍醐味でもあるわけだから、その部分に一番気を使うけどね。これはたぶん日々の鍛錬と慣れが影響するのかもしれない」
 ドミンゴは悲劇のヒーローから威厳のある王、嫉妬に狂う男までなんでもござれのオールラウンダー。そしてちかごろはクラシックばかりではなくジャンルを超えてさまざまな曲にトライし、持ち前の起用さを発揮している。
「一番好きなのは苦悩する役。どうにもならないほど悩む役がいい。私生活ではそうならないように願ってね」
 さて、東京ではどんな歌で酔わせてくれるだろうか。
 ドミンゴは「ふだんクラシックを聴かない人でも絶対楽しめる」と自信満々。プロ根性をかいま見せた。

 今日の写真はその雑誌の一部。実はこのインタビュー時、運ばれてきたコーヒーがものすごく熱く、ひと口飲んだドミンゴは「アッチッチ」と、ネクタイにコーヒーをこぼしてしまった。
 インタビューの間中、そのシミを気にしてハンカチで拭いていたが、結局シミは残ってしまった。それゆえ、写真ではちょっと渋い顔をしている。



| インタビュー・アーカイヴ | 22:10 | - | -
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