Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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プラシド・ドミンゴ・コンサート
 昨夜、「プラシド・ドミンゴ コンサート・イン・ジャパン2011」をサントリーホールに聴きに行った。
 ドミンゴのコンサートはいつもそうだが、着飾った聴衆が多い。
 だが、今回は東日本大震災により海外の多くのアーティストの来日中止が続くなか、日本人の深い悲しみに寄り添い、明日への希望の光を灯すために来日を決意したドミンゴの強い思いを受け止めるため、みな静かに開演を待っていた。
 今回、ドミンゴはアルゼンチン出身のソプラノ、ヴァージニア・トーラと長年組んでいる指揮者ユージン・コーンとともに来日。日本フィルハーモニー交響楽団と共演し、第1部は「ヴェルディの作品から」、第2部は「わが愛しのウィーン」と題したプログラムを披露した。
 そして第1曲目の「シモン・ボカネグラ」のシモンとアメリアとの二重唱から全力投球。いつものようにオーケストラの短い序奏の間にストンと役に入り、あたかもオペラの舞台を思わせるような演技と表現力を見せながら、力強い歌声を聴かせた。
 前半は「エルナーニ」「トロヴァトーレ」「オテロ」のアリアや二重唱が重々しく、深く、熱く歌い上げられ、ドミンゴのこのコンサートに対する心意気が伝わり、胸が痛くなるほどだった。
 後半はガラリと雰囲気が変わって、レハールやカールマン、ジーツィンスキー、ヨハン・シュトラウス2世の陽気でかろやかなオペレッタが次々に登場。ドミンゴの得意とする「メリー・ウィドウ」の「ハンナとダニロの二重唱」ではトーラとのダンスも披露し、会場はやんやの喝采に包まれた。
 しかし、この夜はアンコールがすごかった。プログラムが全部終了したのが21時15分。それから鳴り止まない拍手に応えて、「ベサメムーチョ」や十八番のサルスエラ「そんなことはありえない」などが歌われ、デュオも登場。さらに「日本のみなさんに哀悼の意を表します。音楽が生きるための活力と癒しの一助になることを願っています」ということばとともに日本の歌曲「故郷」を歌いましょうと呼びかけ、全員の合唱となった。
 私のまわりでは、ハンカチを目にあてる女性が続出、男性までも目頭を押さえながら歌っている。なんと感動的な瞬間だろう。
「ドミンゴさん、ありがとう。この夜のコンサートは生涯忘れません」
 私はこう胸のなかでつぶやいた。これまで何度もいろんな土地でドミンゴの歌は聴いてきたが、この日の彼の歌声は、人を元気づけようとする強靭な意志の力がみなぎっていた。
 1日たったいまでも、ドミンゴの温かな眼差しと全身全霊を傾けた歌唱が心の奥に宿り、涙がこぼれそうになる。
 アンコールがすべて終わって終演を迎えたのは21時55分、ほとんど22時だった。3時間にわたって歌い続けたプラシド、本当にありがとう!!
| 日々つづれ織り | 21:31 | - | -
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