Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
 4月15日、イタリア・パレルモ生まれのテノール、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラが滞在先のトルコで亡くなった。享年53。
 最近は後進の指導にあたることも多く、このときはマスタークラスで教えていたそうだ。
 実は、ラ・スコーラの2007年3月と2008年7月に横浜みなとみらいで行われた「シチリアの情熱・太陽の声〜イタリア・アリアとカンツォーネの世界」と題したコンサートのプログラムの記事を担当した。
 彼はいつもトスティの歌曲から始め、プッチーニのオペラ・アリア、さまざまなカンツォーネと多彩な曲目を熱唱、まさにシチリアの太陽を思わせる明るく透明感に満ちた情熱的な歌声を披露した。
 ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラは1958年生まれ。アッリゴ・ポーラ、カルロ・ベルゴンツィに師事。1982年「ヴェルディの声」国際コンクールでツィリアーニ賞を受賞し、翌年ドニゼッティ「ドン・パスクアーレ」のエルネストでオペラ・デビューを果たした。
 その後、ブリュッセルで「愛の妙薬」でデビューしたのを皮切りに世界各地のオペラハウスで著名な指揮者と共演、華々しい活躍をするようになる。
 その真っ青な空にスコーンと抜けていくような明朗な歌声は、ルチアーノ・パヴァロッティの後継者と呼ばれるにふさわしく、2000年にはイタリアの「L´Opera」誌のベスト・テノールの栄誉を受けた。
 日本には何度か来日し、熱狂的なファンも多く獲得した。初来日は、1988年のリッカルド・ムーティ指揮ミラノ・スカラ座来日公演で、「日本の聴衆は音楽に対する造詣が深く、とても静かに集中して聴いてくれる。毎回、ステージに立つたびに驚かされる」と語っていた。
 まだまだこれから活躍してほしいすばらしい才能を持つ人だっただけに、急逝は残念でたまらない。
 これまで聴いた多くの曲のなかでは、作者不詳の「シチリアの歌」がとりわけ印象深い。
 この曲は昔、イタリアとオーストリアが戦争をしていたとき、あるシチリアの兵士が夜明けに「まだみんな寝ているようだ」と歌い始め、歌い終わったところで敵陣のオーストリア軍から「Bravo!」の声がかかったといういわくつきの歌。
 歌詞は悲しい内容で、シチリア訛りで歌われるが、ヴィンチェンツォはいつも思いを込めてじっくりと心に染み入る声で聴かせた。
 ああ、もう一度この曲を聴かせてほしかった。ご冥福をお祈りします。

 今日の写真はそのときのプログラムの一部。日焼けした顔、満面の笑顔が忘れられない。 


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