Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ポール・ルイス
 今日はマネージメント会社を経営している友人のTさんと、白金でランチをご一緒した。
 そのなかで、この時期に来日してくれるアーティストは本当に貴重で、感謝してもしきれないという話題になった。
 彼女とは職種は異なるが、同じクラシックの世界で仕事をしているため、話がとても合う。ばらちらしをいただき、その後カフェでケーキを食べて紅茶を飲み、結局彼女のオフィスまで行ってまた話し込み、気がついたら5時間もおしゃべりしていた。
「でも、まだ話し足りないね。お互い仕事をしなくちゃいけないし、今日はこのへんにして、また近いうちに続きをしよう!」
 別れた後は、なんだか胸のなかがすっきり。本音で話せる友人は、本当に大切にしたいと思った。それにしても、話し足りないなあ(笑)。
 このときに先日「シューベルト・チクルス」で来日したイギリスのピアニスト、ポール・ルイスの話題が出た。
 彼はいま世界各地で「シューベルト・チクルス」を行っていて、日本では王子ホールで2年間にわたって演奏することになっている。
 4月21日の第1回はピアノ・ソナタ第15番ハ長調、3つのピアノ曲D946、ピアノ・ソナタ第17番ニ長調を演奏。いずれも磨き抜かれたテクニックと深い洞察力に支えられた情感豊かなピアニズムで、真のピアノ好きをうならせる圧倒的な存在感を示した。
 とりわけ印象に残ったのは、3つのピアノ曲の第2曲。香り高く気高く、涙がこぼれそうになるほどの美しさだった。
 今年の1月にインタビューをしたときは、「シューベルトを演奏することは、自分の音楽を発見すること」だと語っていた。
 彼は20代のころからシューベルトを弾いているそうだが、その作品は人間の本質を描き出し、常に人間としての生きかたを問いかけてくる感じがするという。
 よく、シューベルトは奏者が成熟しないと弾けないといわれるのは、そこに大きな理由があるのかもしれない。
「確かに、シューベルトの作品は楽譜を見てすぐには理解できません。時間をかけてじっくりとその内面に近づき、作品が内包する陰影や深い情緒やひそやかでありながら雄弁な語り口をひも解いていかなくてはなりません。でも、それが魅力であり、ピアニストを惹きつけてやまない理由だと思います。人間の根源に根差した音楽ですから」
 ポール・ルイスは、シューベルトの歌曲をテノールのマーク・パドモアと組んで演奏し、録音も行っているが、リートを演奏するとよりシューベルトの本質に近づくことができるという。
「リートのピアノ伴奏をすると、歌詞により世界が具体化し、ピアノの音だけでは見えなかった新たな広がりが見え、色彩感が定まってきます。リートが投げかけてくるのは死や喪失や絶望などが多いのですが、反面どう生きるかという問いかけもあります。それを音で表現するのには、やはり演奏者自身が成熟しないとならないのかもしれません」
 ポール・ルイスの次なる演奏会は7月1日、その後は12月8日の予定だ。心の奥に強い印象をもたらす彼のシューベルト、次回も胸の奥に染み込む音楽を聴かせてくれるに違いない。
  
 今日の写真はインタビュー時のポール・ルイス。知的でおだやかで説得力のある話かたが印象に残る。

| 親しき友との語らい | 21:23 | - | -
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