Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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横山幸雄
 ピアニストの横山幸雄に初めて会ったのは、まだ彼がフランスで勉強をしているころで、パリ郊外のデファンスにある音楽院の寮に取材に行ったのが始まりである。
 それからショパン・コンクールでの演奏も聴き、デビュー以来ずっとさまざまな形で取材をし、演奏も聴き続けている。
 ただし、この横山幸雄との出会いはひどいものだった。若かった彼はとっても生意気で(ゴメン)、私の質問に対し、ぶっきらぼうな答えしか戻してこなかった。
「あなた、すごく生意気ね」
 たまりかねて私がいうと、すぐにこう切り返してきた。
「質問がつまらないから、答えようがないよ」
 それからふたりでいい争いになり、それでも私が仕事だからと懸命にインタビューを続けると、次第に本音を明かすようになった。そばにいたカメラマンは、ふたりの壮絶ないい合いに壁に張りついていたものだ。
 だが、それが縁となり、以後喧嘩しながらも本音トークを繰り返している。いまはお互いに「あのときはおもしろかったね」と笑って話せるようになった。
 デビューしてから次第に太ったときは、マネージャーから「伊熊さんだったらはっきりいえるだろうから、もっとやせたほうがいいといってくれ」と悪役を頼まれたこともある。
 これを本人にいったときのことは、想像にお任せ。ホント、ひどい役がまわってきたものだ。でも、スリムになったけどね(笑)。
 そんな彼は、昨年5月にショパンの作品番号がつけられた166曲を一日で弾くというすさまじい演奏会を行い、ギネス世界記録を樹立した。
 さらに今年はバージョンアップ。5月3日に東京オペラシティコンサートホールで、ショパンの遺作を含めた全212曲の連続演奏会を行う(チャリティーコンサート)。
 この時間帯を聞いてびっくり。朝8時から始めて、夜中の2時終了だという。なんと、18時間弾き続けるのである。もちろん合間に少し休憩は入るが、想像を絶する長さだ。
 先日インタビューしたときに私が目をまん丸にすると、「そんなに驚くことではないでしょ。だって、練習するときは10時間ぶっ通して弾いていることもあるんだから。本番よりも練習のほうが大変なんだよ」とケロリ。このインタビューはWEBの「チケットぴあ」に掲載されている。
 体力、気力、実力が充実しているいまの横山幸雄。最近はインタビューでもお互いにおだやかに話しているが、なんだかつまらない…。
 ふたりの合言葉、「デファンスの出会い」。これをいうと、いまではなつかしい思いが胸に迫ってくる。丁々発止の話のほうが、やっぱり刺激的でおもしろいんだよね。
 横山さん、18時間のショパン、頑張ってね!!

| 終わりよければ…取材奮闘記 | 23:46 | - | -
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