Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ルネ・フェレ
「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」は、天才モーツァルトの5 歳上の姉、マリア・アンナ・モーツァルト、愛称ナンネルが主役となった映画である。
 姉弟は幼いころから音楽に天才的な才能を発揮し、父レオポルドに連れられてヨーロッパ各地の宮廷や上流階級のサロン、教会などで演奏して絶賛されるが、やがてナンネルは弟ヴォルフガングの陰に隠れるようになっていく。
 当時は、女性というだけで音楽家として世に出ることはできなかった。
 そのナンネルの悲劇をフィクションを含めて描き出したのが、ルネ・フェレ監督によるフランス映画だ。
 監督は父レオポルドが残した書簡集を読むことにより、映画の構想を得たという。映画についてインタビューを行ったのは2月だったが、インタビューに答える監督は、いつもインタビュアーを自分のビデオで撮影し、それをあとで楽しむそうで、私のときも質問する表情をずっとビデオで追っていた。なんとも、不思議な感覚だった。
「私はナンネルの生きかたを通じて、現代女性に自分の生きかたをもう一度考えてほしかったのです。時代も職業も環境も異なるでしょうが、女性が自分の目標を追い求め、夢を実現していく気持ちに変わりはありません。映画を見て、何かを感じてほしい。いま自分の仕事や生きかたについて悩みを抱えたり、迷いに入ったりしている人も多いはずです。そうした人たちに、新たな道を拓いてほしい、そう思って映画を作りました」
 ここにはナンネルの音楽が登場してくるが、彼女の楽譜は残されていないため、これは新たな創作を必要とした。
「多くの映画や舞台、オペラで活躍している作曲家、マリー=ジャンヌ・セレロに依頼しました。まず私が好きな曲、ナンネルの音楽を連想するような、ナンネルの音楽に近いであろう曲をたくさん彼女に聴いてもらい、そこからインスピレーションを得て曲作りをしてもらいました」
 だが、当初は出来上がった曲があまり気に入らず、監督はやむなく他の人に作曲を依頼したそうだが、結局セレロに戻った。
「マリー=ジャンヌは夜も眠れないほど悩み、一時はまったく曲が書けなくなってしまったほどです。でも、彼女は辛抱強く取り組み、結果的にはすばらしい曲に仕上げてくれました。ぜひ、映画のなかで使われる曲に注意深く耳をすませてください。あたかもナンネルが作ったように聴こえるはずですから」
 このインタビューは、現在発売中の「フィガロ・ジャポン」に掲載されている。
 今回は監督のふたりの娘、ナンネル役のマリー・フェレとルイ15世の末娘ルイーズ役のリザ・フェレが出演、重要な役を演じている。
 当時の女性の生きかたから、自分の生きかたを考え直す。これは「マーラー 君に捧げるアダージョ」のパーシー・アドロン監督のインタビューでも同様の話が出た。21世紀に生きる私たちに向けての監督たちのメッセージ。「映画から何かを得てほしい」と語るフェレ監督のことばが深く心に響いた。

 今日の写真はインタビュー時のフェレ監督。「私はデリケートでエレガントな映画が好きなんですよ。生活がほんの少し豊かになるような感じのね。旅も好きですし、人に会うのも好きです。最近はさまざまな伝記を読むことに時間をかけています。いつも新しいものを見つけることに意義を見出しています」


 
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