Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マーティン・ヘルムヘン&クリスティアン・テツラフ
 海外のアーティストの来日中止が相次ぐなか、この時期に日本に来てくれる音楽家には本当に深い感謝の念を捧げたいと思う。
 みんな異口同音に「もちろん怖い気持ちもあるけど、こういうときだからこそ、音楽で日本の人たちを勇気づけたいと思っている。自分に何ができるかを考えたとき、いまは日本に行くべきだと思った」と語っている。
 最近聴いたのは、1982年ベルリン生まれのピアニスト、マーティン・ヘルムヘンと1966年ハンブルク生まれのヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフのふたりのドイツ人のリサイタル。
 ヘルムヘンは2008年に来日して情感あふれるすばらしい演奏を披露、その清々しく心が洗われるようなピアニズムは、いまだ強い印象となって胸の奥に残っている。
 今回はベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」をメインに据えたプログラムだったが、静謐で響きの余韻を残すような特有のピアノはいっそう磨きがかかり、あふれんばかりのみずみずしさが全編を覆っていた。
 ヨーロッパではライジングスターとして各地の音楽祭から引っ張りだこ。室内楽でも実力者たちと共演を重ねている。
 ああ、この叙情的なピアノ、ずっと聴いていたいと思ってしまう。そんな私のこよなく愛するピアニストである。
 もうひとり、クリスティアン・テツラフも、すばらしいプログラムを組んだ。今回はJ.S.バッハの無伴奏作品が登場したが、私が聴いた日は前半がヴァイオリン・ソナタ第2番とパルティータ第2番、後半がヴァイオリン・ソナタ第3番とパルティータ第3番。
 冒頭からすさまじいまでの集中力を発揮し、曲の内奥へとひたすら迫っていくはげしい演奏を聴かせたが、とりわけ「シャコンヌ」では音楽が天高く舞い上がっていくような高揚感を見せ、のびやかな音色がホール全体に響きわたり、バッハの音楽の神髄を知らしめた。
 この時期に来日してくれるアーティストは、いつにも増して音楽がはげしく深く、強靭な精神性がその演奏を劇的なものにしている。聴き終わると、しばらく席を立てなくなるほどの感動が襲ってきて、ぼうぜんとしてしまうほどだ。
 これが「音楽の力」だろうか。
 彼らの勇気と決断と実行力、そしてなにより心のこもった演奏に「ありがとう」と何度も何度もいいたい。
 
| クラシックを愛す | 22:19 | - | -
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