Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ラン・ラン
 ラン・ランの勢いが止まらない。彼はいつも前向きでエネルギッシュ。陽気でオープンで社交的な性格は多くの先輩音楽家に愛され、共演する指揮者や歌手、器楽奏者がみな再共演を望む。
「ぼくが一番大切にしているのは本番の舞台。偉大な音楽家と共演するたびに、その人たちからことばでは表現できないほど多くのことを得ている。それを大切にし、もっともっと彼らから学ぼうと思い、質問攻めにしたり、いろんな話をしてほしいとせがんだり(笑)」
 デビュー当初は、髪は刈り上げ、中国服のよく似合うタイプだったが、いまはとってもおしゃれ。自信がみなぎり、より雄弁になった。
 彼は自分が中国にいた時代からヨーロッパの音楽家の録音をよく聴いていたため、それがのちに大いに役立ったという。そうした経験をもとに、2年前に自身の名を冠した財団を設立、若手演奏家を支援している。マスタークラスを開いたり、奨学金を支援したり、コンサートを開く手助けをするなどして、主としてアジアの音楽家に道を拓いている。
 そして今秋、香港の近くに学校を設立するという。
「『ラン・ラン・ミュージック・ワールド』と名付けました。スクールとはつけたくなかった。勉強するのではなく、ここから世界の舞台へと飛翔していくことを願っているし、音楽を楽しみながら演奏してほしいから」
 まだ20代なのに、学校まで建ててしまうとは…。
 このインタビューは「ムジカノーヴァ」の5月号に掲載されている。
 ラン・ランは練習魔。寸暇を惜しんで練習に没頭。だが、それを楽々とこなしているように思わせ、決して辛い表情は見せない。幼いころから練習熱心で、いつも先に先に進みたいと思っていたそうだ。
「ぼくはいつも練習を楽しみ、音楽と遊び、その楽しさを聴いてくれる人たちにも伝えたいと思っている。自分が苦しそうな顔をしていたら、聴衆は楽しめないでしょ。ぼくはいつもピアノに向かうとき、独自のスタイルを確立するよう努力しています。演奏しながら作品に合う情景を描き、それらを劇的に表現したいと考えます。自分だけの音楽を作りたいから。本当はね、少し聴いただけでだれが弾いているのかわかるピアニストになるのが夢なんですよ。いつになるかなあ」
 真顔でこう語っていると思ったら、突然ケラケラ笑いだす。この笑顔にみんな引き込まれてしまうんでしょうね。
 最近の「ラン・ラン ライブ・イン・ウィーン」(ソニー・クラシカル/エピックレコード)の録音では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「熱情」とアルベニスの「イベリア」の作品の奥に潜む繊細さや内省的な表現、緻密さが印象に残った。以前は超絶技巧をものともせず、エネルギー全開でスピーディに飛ばしていったが、現在はそこに表現力の深さが加わった。
 やはり偉大な音楽家との共演が大きく影響しているのだろう。

 今日の写真はインタビュー直後の表情。「写真、見せて見せて」というので「これ、どお?」と見せたら、「おおっ」と叫び、「こんなにいい表情の写真、初めてだよー。いい顔してんなあ、ぼく」と自画自賛。
「絶対にボツにしないでよ。約束だよ」と念を押された。ハイハイ、約束通り、アップしましたよ。



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