Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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パスカル・ドゥヴァイヨン
 私は遠い祖先がスペイン人だと勝手に思い込んでまわりに笑われているが、「私は前世は日本人だったんだよ」などと真顔でいって笑いを誘っているのが、フランスのピアニスト、パスカル・ドゥヴァイヨン。
 彼は数々の国際コンクールで賞を得、独特のニュアンスと色彩感に彩られた演奏で高い人気を誇っている。現在はベルリン芸術大学教授、英国王立音楽院(ロイヤルアカデミー)客員教授、Music Alp クールシュヴェール夏期国際音楽アカデミーの芸術監督を務め、日本人の弟子も多い。
 そんなドゥヴァイヨンのもとには教えを請うピアニストが後を絶たない。だが、本人は子ども時代は練習嫌いで、反抗期も十分に経験したとか。だからこそ、弟子のさまざまな悩みが理解できるのかもしれない。このインタビューは「ムジカノーヴァ」の4月号に掲載されている。
 ドゥヴァイヨンは大変な和食党で、毎晩日本酒を欠かさないという。ピアニストの夫人、村田理夏子の手料理に舌鼓を打っているそうだ。
 ふたりはとても仲睦まじく、話術も呼吸がピッタリ。それもそのはず、ふたりはピアノ・デュオを組み、本格的な活動を展開している。
 つい先ごろ、リスト生誕200年を記念して「リストそして悪魔」(レグルス)と題した新譜をリリース、大作「ファウスト交響曲」の作曲者自身による2台ピアノ版を演奏している。
 これはすさまじいまでの超絶技巧を要する作品だが、彼らはまさに息を合わせ、作品の奥に潜むドラマを浮き彫りに、聴きごたえのあるデュオを披露している。
 なお、11月17日には東京文化会館小ホールで「村田理夏子、パスカル・ドゥヴァイヨン ピアノ・デュオ・リサイタル〜ファウスト交響曲CDリリースを記念して〜」と題したコンサートが行われる。
 プログラムはデュカスの「魔法使いの弟子」、リストの前奏曲、そしてリストの「ファウスト交響曲」が組まれている。
 ドゥヴァイヨンはライナーノーツにこう記している。
「リストは、ファウストとメフィストという2つの性格をはっきりと比較対照し、悪魔と人間はおそらくそれほどかけ離れていないもの…そして、単にそれは、まったく同じ実体の2つの顔なのではないか、ということを指示しているように感じられる」と綴っている。
 リスト・イヤーに登場した2台ピアノによる「ファウスト交響曲」。ふだんはあまり聴くことができないこうしたすばらしい作品を耳にすることができるのも、メモリアルイヤーならでは。リストの奥深さに開眼する思いを抱く演奏である。
 もうひとつ、ドゥヴァイヨンがピアノのテクニックについて書いた本が出版された。題して「ピアノと仲良くなれるテクニック講座」(音楽之友社)。ピアノに行き詰ったあなたに、ピアノ教師のあなたに、ピアノを一生の友としたいあなたに向けて、名教師ドゥヴァイヨンが紙上レッスンを行うという趣向だ。ドゥヴァイヨンが読者に親密的なことばで語りかけるように書かれており、基礎の大切さを自然な形てわかりやすく示唆し、あたかも彼のレッスンを受けているような感覚を抱かせる。
 もちろん、訳者は夫人の村田理夏子が担当。ここでも二人三脚のすばらしい仕事ぶりを発揮している。

 今日の写真はインタビュー時のおふたり。もうこの表情で、息の合ったリストが想像できるでしょ。

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