Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ディミトラ・テオドッシュウ
 9月に待望の5度目の来日公演を行うイタリアの名門オペラハウス、ボローニャ歌劇場は、今回ベッリーニ「清教徒」、ヴェルディ「エルナーニ」、ビゼー「カルメン」という3演目を予定している。
 そのなかで、「エルナーニ」のエルヴィーラ役を歌うのがギリシャ出身のソプラノ、ディミトラ・テオドッシュウ。彼女は、輝かしくドラマティックで力強いコロラトゥーラの技巧で世界を魅了している。
 そこで「インタビュー・アーカイヴ」第15回はテオドッシュウの登場。ちょうど10年前にインタビューした貴重な記録である。

[ぴあ 2001年6月11日号 906]

マリア・カラスの再来!? 
フェニーチェ歌劇場の「椿姫」に登場

「私ね、6歳のときに初めてオペラを見て、オペラ歌手になるんだと心に誓ったの。でも、音楽を勉強する機会はまったくなく、本格的に歌を学び始めたのは25歳からなのよ」
 いまや各地のオペラハウスから引っ張りだこの人気ソプラノ、ディミトラ・テオドッシュウはこれまでの経緯を率直に話す。
 彼女は21歳でギリシャを出てドイツに渡り、仕事をしながら音楽を学び始める。
「オフィスワークをしながら、毎日歌のレッスンに行ったの。ものすごくハードだったけど、いつか舞台に立ちたいと夢見ていたから耐えられた。当時から夢は《椿姫》のヴィオレッタを歌うこと。これ以外の役は考えられなかったわね」
 ギリシャ時代からマリア・カラスのレコードを数多く聴き、特にヴィオレッタを歌うカラスに魅せられていたという。
「内面的に深い役、気が狂わんばかりに人を愛したり、人生を逸脱したり、現実にはありえないようなはげしい性格の人物に惹かれる。
 ヴィオレッタも最初のアリア、ジェルモンとの二重唱、アルフレートへの呼びかけ、そして死の床でのアリアなど聴かせどころがたくさんあるでしょ。これらはみなとても深い感情表現が必要となり、技巧的にも難しいものが要求される。作曲家が意図した歌に近づくには、自分が成熟しないとダメね」
 その夢が初来日のフェニーチェ歌劇場の舞台で実現する。テオドッシュウはこれまで何度かヴィオレッタを歌っているが、実は焼失前のフェニーチェ歌劇場では一度も歌う機会はなかったそうだ。
「偶然なんだけど、フェニーチェと初契約を結んだ日にニュースで劇場の火災を知ったの。役は《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・アンナだった。
 私はこの舞台に立てるチャンスを失い、美しい劇場が失われたことにショックを受けた。でも、日本でヴィオレッタを歌うチャンスが巡ってきた。なんて幸せなのかしら。見ててね、全力投球するから(笑)」
 カラスを継ぐギリシャの歌姫は、豊かな声と表現力を武器に、新しいヴィオレッタ像に挑む。

 今日の写真はそのときの雑誌の一部。「苦労してようやくここまで上り詰めたのよ。ひとつひとつの舞台は私の夢であり、生きる糧であり、大切な聴衆とのコミュニケーションの場なの」としみじみと話す表情が印象的だった。
 きっと今秋のエルヴィーラも、全身全霊を賭けて挑むに違いない。

| インタビュー・アーカイヴ | 22:31 | - | -
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