Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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フランチェスコ・トリスターノ
 昨年に引き続き、フランチェスコ・トリスターノが6月から7月にかけて来日を果たした。今回は、直前に「bachCage」(ユニバーサル)のアルバムがリリースされ、それと連動した作品がリサイタルでも演奏された。
 実は、このドイツ・グラモフォンでのデビュー・アルバムのライナーノーツを書いたため、トリスターノの音はじっくり聴いてあった。だが、実際にナマで聴くJ.S.パッハとジョン・ケージの演奏は録音とはまたひと味異なる臨場感と即興性に満ち、心が高揚するものだった。
 今回もインタビューでさまざまなことを話してくれたが、彼は東日本大震災の被災者のことをとても心配していて、「自分にできることは何でもやりたい」と真顔で語った。
 フランチェスコはルクセンブルクの出身だが、フランスの国境近くに住んでいて、15キロほどのところにフランスの原発があるのだそうだ。それゆえ、小学生のころから避難訓練を定期的に行ってきたそうだ。
 だからこそ、日本の被害が人ごとではなく、身近に思えるのだという。
 トリスターノは大の日本びいきになったことは以前の記事にも書いたが、今回は約1カ月滞在したため、より日本に詳しくなった。日本語にも興味があり、日本語習得の本を片時も離さず持っていて勉強に余念がない。通訳のかたから日本料理の作りかたを英語で書いた本をプレゼントされ、それも大切に持ち歩いている。
 今回のインタビューはもうすぐ出る「フィガロ・ジャポン」に掲載される予定だ。
 もっとも愉快だったのは、名前の話。彼は以前、フランチェスコ・トリスターノ・シュリメと名乗っていたが、グラモフォン・デビューを機に「フランチェスコ・トリスターノ」に改めた。そこで「どうしてシュリメを削ったの。友だちには何て呼ばれている?」と聞いたところ、彼はシュリメという名は各地で正確に発音や表記されず、誤解を招くので外したといった。さらにフランチェスコの親しい呼びかたは「チチョ」だそうだ。
「でもね、一番気に入っているのは日本のマネージャーが呼んでいる“フラくん“。これ、最高じゃない。こんな呼びかたされたの初めてだよ。すごくユニークで親しみやすくて、ぼくに合うでしょう」
 そうか。これからは私も「フラくん」と呼ぼう。
 次なるアルバムもすでに構想ができているそうで、着々と準備に励んでいるそうだ。ライナーノーツにも書いたが、グラモフォンの歴史始まって以来のジャンルを超えたピアニスト。容姿端麗なのにすっごく気さくで、まったく気どりというものが感じられない。自作を作るのは「空気を吸うようなもので、ごく自然に曲想が湧いてくる」そうだ。
 今日の写真はそんなフラくんのごくリラックスしたポーズ。ピアノに向かうときとはまったく異なるやわらかな表情をしている。


 
| 親しき友との語らい | 14:30 | - | -
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