Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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辻井伸行
 辻井伸行は、いつも話を聞くたびに「夢」を語ってくれる。
 今日は、「日経新聞」の今月下旬号のインタビューでいろいろと話を聞いたのだが、からだを乗り出して今後の「目標」や「夢」を話してくれた。
「ぼくはいつも夢をたくさん持っています。それらを実現するためにゆっくり時間をかけて勉強し、少しでも夢に近づきたいと思っています。いま考えているのは、もっと作曲の勉強をしたいということです。そして将来は、ピアノ・ソナタやピアノ協奏曲を書いてみたいんです」
 彼はこの話題になると、からだ全体で夢を表現するように、両手を頭上に掲げ、大きな夢に向かって飛翔していくような様子を見せた。
 今回は、リリースされたばがりの「神様のカルテ〜辻井伸行自作集」(エイベックス)についての話がメインだったが、彼はここに収録されている作品ひとつずつについて、作曲した時期、そのときの気持ち、どんな場所で作ったか、何に苦労したか、それらの思い出についてなど、雄弁に語った。
 辻井伸行はオフレコの話もおもしろい。
 以前、ショパンの取材でパリに立ち寄ったとき、ショパンの関係者である貴族の末裔の家にランチに招かれたそうだ。ところが、フランス料理ならではのソースを味わうためのパンがいくら待っても出てこなかったのだそうだ。
「このご夫妻はかなり年配で、ご本人たちはダイエットをしていたのか、あまり召しあがらない。でも、ぼくはいつかパンが出てくるものと思って、ずっとお皿のソースを残して待っていたのに、ついにパンは出てこなくて、お皿が下げられてしまいました。本当に残念でした。ふつう、パンって出てきますよねえ」
 このときの辻井伸行は、本当に不服そうな顔をしていた。余程そのソースを味わいたかったのだろう。いまでもその表情はよく覚えている。
 そして今回は、「ビール難民」になった話。
「アメリカ・ツアーでは地方の本当に小さな町に行って演奏したんですが、ある町でコンサートが終了したとき、もうレストランが開いていなくて、タクシーであちこち回って探したんですが、ビールの飲めるところが1件もなかったんです。何件も探してもらったんですが、まったくなし。ビール難民になってしまいました。最後は、仕方なくガソリンスタンドでようやくビールとおつまみを買って、それをホテルで食べたんですよ」
 コンサート終了後で、さぞのどがかわいていたことだろう。それなのに、なんと気の毒なことか。ただし、本人はケラケラと笑いながら話していた。
 彼はいつも前向きで、ちょっとやそっとのことでは動じない。こうしたアクシデントもなんのその、かろやかに乗り越えていき、あとで笑い話として話してくれる。だからだろうか、聞いている私はいつも大笑いしてしまう。
 自作集にはこれまで書きためてきたさまざまな曲が含まれ、最近の映画「神様のカルテ」のテーマ曲や、3月11日の震災で亡くなられたかたがたへの追悼と悲しみから立ちあがろうとする人に寄り添い、支えることができるようにと書かれた曲など、さまざまな曲が収録されている。
 そして最後に辻井伸行はもうひとつ胸の奥に抱いている「夢」を明かしてくれた。それは今回の自作集でもビートたけしに捧げられた「音の絵」が含まれているが、「いつの日かたけしさんの映画のテーマ曲が書けるようになりたい。そのために一生懸命勉強します」とのこと。ウーン、すばらしい夢。実現するといいですね。
 今日の写真はそんな「夢」をひたむきに語っている表情。ピュアでキュートで胸にググッとくるでしょう。 

| 親しき友との語らい | 21:44 | - | -
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