Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アルハンブラバス
 最近は、すっかりペーパードライバーになってしまった私。もともと車庫入れは苦手、縦列駐車もダメ。スピード狂だからしょっちゅうつかまっていて、以前会社のクルマを運転していたときは、社長が警察まで呼ばれたものだ。
 いまは我が家の駐車場はガーデニングの場となり、四季の花々が咲いている。
 自分が運転をしなくなると、運転のうまい人がやたらにうらやましくなる。といっても、海外の話。
 この冬、スペインのグラナダで乗った小型バスのドライバーは、それは見事な運転ぷりだった。グラナダは狭い道路が入り組んでいて、アルハンブラ宮殿の周辺やアルバイシン地区にはアルハンブラバスと呼ばれる小型バスがひんぱんに走っている。このバスは迷路のようなところを猛スピードで飛ばしていくのだが、決してどこにもぶつからない。本当に狭い道では通行人が壁に張り付いてパスをよけたり、さっとあいているところに隠れたりするのだが、それをちゃんと見越してすばらしいハンドルさばきでぐんぐん走っていく。
 何度かいろんな路線に乗ったのだが、それぞれのドライバーの陽気なこと。あるところで犬の散歩をしている年配の男性がいると、運転席の窓を開けて「やあ、元気。ワンコロも元気してる?」などと話しかけ、カフェの入り口に向かって「今夜、何時までやってるんだい?」と叫ぶ。
 かと思うと、乗客のチケット(先払いのカード)を刻印しながら同時におつりを出したり、紙幣を数えたり、団体客の人数をカウントしたり。この間、走りを止めることなく、スピードを出して運転続行中。なんという器用さ。
 アルバイシン地区の夜景が美しいサクロモンテの丘にさしかかると、道はなおいっそう狭くなり、夜景を見るためにバスは満員。立っている人も多いのだが、みんなが「キャーっ」と叫び声を上げるほど右に左にぐらぐら車体を揺らして坂道をのぼり、名人芸を発揮する。
 この間、ドライバーは鼻歌を歌い、またまた知り合いを見かけて「今日も満員でさー」などと声をかけている。いや、すばらしいラテン気質。
 以前、ベネツィアのゴンドリエーレはきびしい試験があり、運河の迷路をあの長いゴンドラを自由自在に動かしていかないとパスしないと聞いたが、アルハンブラバスのドライバーもきっと試験があるんだろうな。女性のドライバーもいて、彼女も降りるときに「また乗ってねー」と明るく声をかけてくれた。
 私は一度にひとつのことしかできないから、運転となったらそれだけに集中。とても歌なんか歌えないし、あの狭い道はあちこちにぶつけそう。まあ、一度で試験に落ちるだろうな(笑)。
 今日の写真はそのアルハンブラバス。向こうからやってくると、すごくかわいいんだよね、これが。


 
 
| 麗しき旅の記憶 | 22:36 | - | -
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