Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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フランク・ペーター・ツィンマーマン
 フランク・ペーター・ツィンマーマンは、同業者から憧れの目を向けられる人。よく若手ヴァイオリニストが「あんなヴァイオリニストになりたい」「あんな演奏ができたら最高」ということばを口にする。
 インタビュー・アーカイヴ第21回はそのツィンマーマンの登場。

[日経新聞 2007年4月25日号]

王道を歩むヴァイオリニスト、フランク・ペーター・ツィンマーマン

 ドイツ出身のヴァイオリニスト、フランク・ペーター・ツィンマーマン(1965年生まれ)が4月に来日し、ダニエル・ハーディング指揮ロンドン交響楽団との共演でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調を演奏した。使用楽器は、かつてクライスラーが所有していたといわれる1711年製のストラディヴァリウス。その名器を自由に歌わせ、優雅で繊細でロマンあふれるベートーヴェンを紡ぎ出し、喝采を浴びた。

ロマン的表現に回帰

「このコンチェルトは1981年に初めて演奏し、もう200回以上弾いています。でも、毎回新鮮な気持ちで向かい合うことができ、決して飽きることがありません。最初はロマンチックに弾くことを優先し、やがて急進的な演奏に変化し、現在は昔に戻ってロマン的な要素を重視するようになりました。
 最近楽譜も買い替え、真新しい譜面に注意事項を書き込んで、一から勉強し直しています。カデンツァも、クライスラーの書き残したものを使っているんですよ。この楽器に一番合うと判断したからです」
 父はチェリスト、母はヴァイオリニストという恵まれた環境で育ち、5歳でヴァイオリンを始めた。10歳でオーケストラと初共演、14歳のときにはルツェルン音楽祭に出演して大成功を収め、「天才少年出現!」と騒がれた。以後、アンネ=ゾフィー・ムターとともにドイツの伝統的な奏法を受け継ぐ存在として、国際的に幅広い活躍をしている。

前の時代に生まれたかった

「音楽家の両親が練習を強制しなかったためか、私は音楽を楽しみながら学ぶことができました。16歳までは1日2時間しか練習しませんでした。みんな親がつきっきりで必死にさらっているのに、少なすぎますよね。そのせいか練習嫌いにならず、いまでも練習は大好きなんです」とほほ笑む。
 ただし、苦手なこともある。
「現在は自分を売り込んだり、派手なパフォーマンスを要求される時代ですが、私は地味に着実に進むほうを好みます。本当はもっと前の時代に生まれたかったんですけどね」

バッハは高い頂

 子どものころからハイフェッツ、オイストラフ、グリュミオーの録音に心奪われ、メニューインやミルシテインに教えを受け、こうした巨匠たちの音楽に少しでも近づきたいと願ってきた。ルービンシュタインやリヒテルのピアノにもよく耳を傾け、彼らの姿勢からも多くを学んでいる。
「私が好きな音楽家は、みんな焦らずゆっくりと演奏を成熟させている。その生きかたにたまらなく惹かれます。私はバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全6曲をいずれ演奏したいと考えていますが、このエベレストのような高い頂は時間をかけて少しずつ登っていきたい。
 ベートーヴェンの作品も生涯ずっと弾いていきたいと思っています。やはりドイツ作品は、レパートリーの基礎として大切にしたいですから」
 11月には再び来日し、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」を演奏し、NHK交響楽団とはベルクのヴァイオリン協奏曲で共演する。ツィンマーマンの往年の名手を思い起こさせる馥郁たる香りに満ちた演奏は、自然で温かく、いつまでも心に残る。
「偉大な作品に余分な手は加えたくない」と語る彼の正攻法の奏法が、心にまっすぐに響いてくるからだろう。

 今日の写真はそのインタビュー時の写真。ねっ、演奏と同様、素顔もほんわかあったかい感じでしょ。

| インタビュー・アーカイヴ | 21:43 | - | -
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