Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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サルヴァトーレ・リチートラ
 8月28日、ボローニャ歌劇場の来日公演でヴェルディ「エルナーニ」のタイトルロールを歌う予定になっていたサルヴァトーレ・リチートラが事故に遭ったというニュースを、イタリアの報道機関が報じた。
 シチリアのラグーザ近郊でスクーターを運転中に起きた事故で、すぐにヘリコプターでカターニャの病院に運び込まれたそうだが、重傷だという。
 これを聞いて本当に驚き、非常に心配になった。リチートラには何度かインタビューをし、そのたびに明るい笑顔とおおらかな性格、ときには歌声も披露してくれたからだ。
 最初に出会ったころよりも、最近はひとまわりスリムになり、「ダイエットが成功したんだ」と喜んでいた。
 足の運動と肩と腕の筋肉をつける運動をミックスした方法を行ったことが功を奏したそうで、さらに食事療法をプラスして体重を26キロ落としたという。
 その食事療法を詳しく聞いたら、イタリア人らしからぬ食事をとっていることに驚いた。
「パスタ、ピッツァなどをやめ、寿司、さしみ、焼き魚、果物、野菜を中心にしたんだ」
 本当だろうか。よく耐えられるなあ。子どものころから食べていた物をやめるのは、大変な努力を要すると思うのだが…。
 彼は18、19歳のころ大きな声で歌っているのを母親が聴き、彼女が「声楽を習ったほうがいいんじゃない」と真剣にいってくれたため、レッスンに通うようになった。それから10年間必死で学び、プロの歌手を目指したが、ダメな場合を考えてそれまで勉強していたグラフィックデザイナーの資格を取ることも並行して行っていた。
「ぼくは7つのコンクールに落ちたんだよ。審査員には受け入れてもらえなかったんだ。もう歌手になるのはあきらめたほうがいいのかと、本当に悩んだ。でも、1998年にようやく劇場でデビューすることができ、それからは各地のオペラハウスから声をかけてもらえるようになった。コンクールに失敗したのは、自分の声に合う役を歌っていなかったから。重いタイプのアリアばかり勉強していたから。でも、カルロ・ベルゴンツィに師事することになり、それまでのことはすべて忘れなさい。自分の持っている自然な声で歌うようにといわれて、その教えに忠実に従うようにしたら、道が開けたんだ」
 以後、短期間で著名なオペラの主役をいくつも歌い、演技力も磨いていく。
「ぼくはこれまでいくつもの壁にぶつかってきた。そのつど、それを懸命によじのぼるようにしてきた。困難がふりかかってくるのが人生だと思う」
 リチートラはいつも全力投球。インタビューでも一生懸命に話してくれる。それはステージでも同じ。これでもかと声を張り上げる。
「そうなんだ、どんなに調子が悪いときでも目いっぱい声を張り上げる。手を抜くことができないタチなんだよね。こういう性格だから、失敗も多いよ。最近は行動する前に少しは考えるようになったけど、ついつい思い立ったらそのまま行動してしまう。少しは大人にならないとね」
 こういって高らかな笑い声をたてていたリチートラ。
 早く治って、また元気な声を聴かせてほしいとひたすら祈るばかりだ。
 今日の写真はインタビュー時のリチートラ。いい笑顔でしょ。


 
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