Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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比石妃佐子
 先日、スペイン在住のピアニスト、比石妃佐子に電話インタビューを行った。
彼女はマリア・カナルス国際コンクールに参加したことがきっかけでスペイン作品に魅せられ、このときにガウディのサグラダ・ファミリア聖堂の主任彫刻家である外尾悦郎氏と知り合い、のちに結婚してバルセロナに住むようになった。
 スペイン好きの私は彼女の話を聞いているうちに、電話口の向こうからスペインの空気が流れてくるように感じ、いたく感動してしまった。このインタビューは、「CDジャーナル」の今月発売号に掲載されることになっている。
 比石妃佐子は、ドイツ、オーストリア、スイスなどで学んでいたときは王道をいくレパートリーを主体としていたが、やがてスペイン作品に集中するようになったそうだ。アリシア・デ・ラローチャのマスタークラスを受け、彼女からスペイン作品の奥に宿るさまざまな要素を伝授されたからである。
 そんな彼女は、グラナドスの「12のスペイン舞曲集」「ゴイエスカス」とアルベニスの「イベリア、スペイン組曲」を録音している。いずれも特有のリズムに彩られ、この土地特有の空気が全編にただよっている作品だが、それを彼女は鍛えられた技巧を駆使し、実際にその土地に身を置いている強みからか、生き生きと演奏している。
 以前ラローチャにインタビューしたときに彼女が語っていたが、スペイン作品は実際にその土地を知らなければ自然には弾けないという。土の香り、空の青さ、乾いた空気、哀愁ただようロマ地区の風情、浮き立つリズム、光と影のコントラスト、情熱的な人々の気質など、すべてが音楽に込められているからと。
 比石妃佐子もインタビューでそのことを熱く語っていた。
「イベリア」も「ゴイエスカス」もテクニック的にとても難しく、躍動するリズムや奥に秘められた感情を自然に表現するのは至難の技だと考え、演奏したくても躊躇するピアニストが多い。それゆえ、実際のリサイタルでは全曲を聴くことは稀である。
 私はもちろんこれらのスペイン作品には目がないから、ここに登場したCDはまさに宝物である。
 比石妃佐子は11月17日に浜離宮朝日ホールで、グラナドス、ファリャ、モンサルヴァチェというプログラムでリサイタルを行う。きっとホールはスペインの熱き空気で満たされるに違いない。
 彼女はこうした作品をひとりでも多くのピアニストが演奏できるよう、楽譜の解説を行ったり、さらなる研究を続けている。遠い日本から「フレー、フレー、頑張ってー」とエールを送りたくなるくらいだ。
 今日の写真は3枚のCD。以前、グラナダで購入した、この土地の名産である寄せ木細工のトレーの上に乗せてみた。ほら、どこからかスペインの風が吹いてくるでしょう(笑)。

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