Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ベルリン・フィル
 昨日はベルリン・フィル・デーだった。
 まず、午前11時からホテルオークラ東京で記者会見があり、ベルリン・フィルの首席指揮者兼芸術監督のサイモン・ラトル、首席チェリストでメディア担当のオラフ・マニンガー、来日公演で細川俊夫作曲のホルン協奏曲「開花の時」のソリストを務める首席ホルン奏者のシュテファン・ドールの3人が出席した。
 ラトルは冒頭、日本の震災に対し、「日本とは長年いい関係を築いてきた。今こそ私たちが支えるとき。共通言語である音楽が両者をつないでくれると思う。3日間のサントリーホールでの公演は小さな一歩でも、意義深いこと」とあいさつ。それから他に先駆けて3D映像によるラフマニノフの「交響的舞曲)&マーラー「巨人」のリリースに関し、「最初にみんなで見たときは本当に驚いた。クラシック音楽における新たな旅立ちの始まりだと思う。これはいじりまわしたものではなく、正真正銘のナマの演奏。限りない可能性を感じる」と語った。
 マニンガーも今後はさまざまな最新メディアを駆使して、ベルリン・フィルの日常を発信していくと熱く語り、ベルリン・フィルの全世界のユーザーの5パーセントから10パーセントを日本人が占めていると発表した。
 ドールは、細川作品を「ベルリンと日本をつなぐ意義深い作品」といい、「旅する作品」という感じがすると語った。
 ラトルは今回の来日プログラムで取り上げるマーラーの交響曲第9番、ブルックナーの交響曲第9番に関して指揮するたびに新たな発見のある作品だといい、ベルリン・フィルも演奏するたびに質が一気に向上していくと灌漑深げに語った。そして「指揮者の悪いところはしゃべりすぎることなんだよね」といいながら、作品論、演奏論から今後のオーケストラのレパートリーまで滔々と語り、記者会見は当初の予定時間を大幅にオーバーした。
 そして夜は初日の演奏会、マーラーの交響曲第9番を聴きに出かけた。
 これは死を予感したマーラーが、その心の動きを作品に投影させたものであり、最後の完成された交響曲で、まさに「死の音楽」である。ラトル、ベルリン・フィルは冒頭からすさまじいまでの集中力に富んだ演奏を展開、第1楽章の「永遠に」のモチーフ、第2楽章のレントラーのおだやかさとグロテスクな性格との対比、第3楽章のシニカルなユーモラスを映し出す「死の舞踏」まで、一瞬たりとも聴き手の耳を逸らさない濃密な演奏を繰り広げた。そして終楽章の「アダージョ」。瞑想的で神秘的で幻想的な曲想をオーケストラ全体が朗々と奏でていくが、その奥にはマーラーの痛切な心の叫びが宿っている。
 95分におよぶ演奏は静かに消え入るような音で終わりを告げ、最後の音が天上のかなたへと高く飛翔していった後、長い沈黙がホール全体を包み込み、ようやく拍手が沸き起こった。
 この夜のコンサートマスターは樫本大進が務めた。彼が偉大なベルリン・フィルをリードしていく雄姿を間近にし、デビュー当初からずっと大進の演奏を聴き続けてきた私はとても誇りに思い、晴れがましい気分になった。
 大進はひたすら練習あるのみの生活で、いつもベルリンではリハーサルを終えていったん家に戻り、夕食後に再びフィルハーモニーに戻って深夜までひとりで練習するという。その努力の成果がこの夜のソロの部分に表れていた。
 ラトルはオーケストラがステージから去った後にもう一度鳴りやまない拍手に応えて登場したが、そのときに大進を呼んで包容を交わした。ああ、なんてすばらしい瞬間なのだろう。ダイシン、頑張れ。もっともっと大きくなって!!
今日の写真は記者会見の3人。左からドール、ラトル、マニンガーの各氏。

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