Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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クレール・デゼール&アンヌ・ガスティネル
 フランスのピアニスト、クレール・デゼールは、クリアな響きと楽器全体を豊かに鳴らす奏法の持ち主である。これは25年前にロシアに留学したことが影響しているようだ。
 そんな彼女と息がピッタリ合うチェリスト、アンヌ・ガスティネルとのデュオが10月25日に東京文化会館小ホールで開かれた。
 ふたりは初めて共演したときから自然に音楽が流れ、長年の友のように親しい気持ちが湧き、ずっと一緒に演奏したいと思うようになったという。
 当日のプログラムはベートーヴェン、プーランク、ドビュッシー、フランクのチェロ・ソナタだったが、いずれも集中力と緊迫感に富む演奏で、両者の丁々発止の音の対話が非常にエキサイティングだったが、その奥に不思議な静けさが宿っているのが印象に残った。
 ガスティネルには以前インタビューを行ったが、デゼールのインタビューにも同行してくれたため、デュオの秘訣と醍醐味を聞いた。
「クレールとは、本当にウマが合うの。デュオというのは、音楽性と人間性が合わないと、絶対にうまくいかない。特に海外の長いツアーになったら、性格的に合わないと、音楽にも微妙な影響が出てしまうわね。音楽的にいくら合っても、お互いに何でも気軽に話せるような間柄でないと、息がつまってしまうから」
 これに対し、デゼールも。
「私たち、いつも冗談ばかりいいあって大笑いしているのよ。学生時代の延長みたいで、本当に楽しい。でも、演奏が始まると緊張感がみなぎり、決して妥協はしない。お互いに尊敬しあっていて、音楽で寄り添うべきところはしっかり寄り添うけど、自分の音楽の主張はきっちり通すのよ」
 彼女たちはほとんどノーメイクでラフな格好をしている。話すときもリラックスし、見事なまでに自然体。「ああ、こんな友だちがいたら最高だろうなあ」と思わせる。
 ふたりはふだんは離れた土地に住んでいるため、お互いのソロ演奏を聴く機会がないのが悩みだそうだ。
「でもね、リハーサルで合うと、もうすぐに毎日会っているような親密な感じになるの。こんなパートナー、なかなか見つからないと思うわ」
 コンサートに先駆けてリリースされた新譜は、来日公演とほぼ同じ曲目。それらの作品に対するふたりの意見もまた、似ているようで各々の主張があり、とても興味深かった。このインタビューは次号の「intoxicate」に掲載される予定である。「intoxicate」とは、「夢中にさせる」「興奮させる」「酔わせる」という意味。その雑誌名を聞き、ふたりは大笑いしていた。
 フランスには、こうした真の実力を備えた「大人の女性」といった雰囲気をもつアーティストが何人か存在する。デゼールもガスティネルも飾らず気負わず、しかも粋でユーモアとウイットに富んでいる。ああ、こんな雰囲気を身につける女性になりたいなあ、とつくづく感じ入った。
 今日の写真は、そんなふたりのとってもいい雰囲気の1枚。左がアンヌ、右がクレール。ねっ、友だちになりたいと本気で思っちゃうでしょ(笑)。

| アーティスト・クローズアップ | 23:39 | - | -
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