Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マリア・グレギーナ
 来日するごとに圧倒的な歌唱力と演技力、そして存在感で聴衆を魅力するウクライナのオデッサ出身のソプラノ、マリア・グレギーナ。
 彼女はいま歌っている役にのめり込むことで有名だが、インタビューでもひとつひとつの質問に対してじっくりと考え、誠意ある答えを戻してくれた。
 インタビュー・アーカイヴの第29回はそのグレギーナ。彼女はドラマティック・ソプラノと呼ばれ、「トゥーランドット」「トスカ」「マノン・レスコー」「アンドレア・シェニエ」「ナブッコ」「マクベス」「運命の力」など、幅広いレパートリーをもち、それぞれの役で個性を発揮している。

[marie claire 2002年8月号]

愛に包まれた生活をしたい

「何度歌ってもいつも新しい発見がある。それがひとつの役を練り上げていくことにつながると思うの。同じ歌いかた、表現力で満足したら、もうおしまい。毎回毎回その役にいかにしたらなりきれるか、そればかり考えているのよ」
 いま、世界中のオペラハウスから引っ張りだこの人気ソプラノ、マリア・グレギーナは努力の人である。
 学生時代は「ちっとも勉強せずになまけていた」そうだが、プロとしてスタートを切ってからは自己の限界まで練習し、役になりきり、自分の声を鍛え上げている。
「いつも声がどんな状態にあるか自分の内面に問いかけ、オペラの役を慎重に選んできたの。だれでも若いころは大きな役がくると無理して挑戦してしまう傾向があるけど、これは危険なこと。声をつぶしてしまうから。私はいまだから《トスカ》が歌える。25歳だったら歌えなかったわね。この役はさまざまな歌唱、表現力を要求されるとても深い役だから。いまや私の分身よ」
 現在は「トスカといえばグレギーナ」といわれるまでになった。彼女はこれを歌っている間トスカになりきり、私生活でも彼女のように情熱的にふるまってしまうという。
「歌手は情熱を失ったらダメよね。私もいつも愛に包まれた生活をしたいと思っているわ」
 こういって笑う彼女のかたわらには、学生結婚したというバリトン歌手のご主人が寄り添う。
 彼はグレギーナを世界的な歌手へと押し上げた立役者。一目ぼれでいまでも彼女に熱い気持ちを捧げる。
「今後は《ノルマ》と《椿姫》を歌いたい。どちらも劇的なアリアが多く、一途な愛に生きる役。またずっと熱い目をしていなくちゃ(笑)」
 そんなグレギーナの「トスカ」が今夏日本に上陸。聴衆の心を揺さぶるはげしい舞台になるだろう。

 今日の写真はその雑誌の一部。
 実は、インタビューが終わって彼女はこんな打ち明け話をしてくれた。
 学生時代に彼女に魅了されたご主人は、貧しかったため、昼食を食べずにそのお金をため、それで花束を買って毎日グレギーナに届けたのだという。 
「ここまでされたら、女はみんな降参するわよね。でも、その熱意がいまでも続いているんだから、主人の情熱はすごいと思うわ。私も負けないようにしなくちゃね」
 こういってにこやかに笑う彼女を、温かく見守るようにじっと見つめるご主人。いやあ、まいりましたなあ。グレギーナの話も熱気あふれるものだったけど、ふたりの愛情の深さに部屋はムンムンと熱くなっていました。

| インタビュー・アーカイヴ | 21:16 | - | -
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