Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マリス・ヤンソンス
 明けましておめでとうございます。今年もいろいろ幅広い話題、情報を綴っていきたいと思います。
 さて、1月1日といえばウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。今年の指揮者は、マリス・ヤンソンスが2006年に続いて2度目の登場。これまで演奏されたことのない作品や、初めてチャイコフスキーのワルツを組み入れるなど、画期的なプログラムを披露した。
 ヤンソンスは1943年1月14日、ラトヴィアのリガ生まれ。エフゲニー・ムラヴィンスキーとともにレニングラード・フィルの指揮者を務めたアルヴィド・ヤンソンスを父に持つ。レニングラード音楽院、ウィーン国立音楽アカデミーで学び、ザルツブルクではヘルベルト・フォン・カラヤンの薫陶を受けている。
 1971年にカラヤン国際指揮者コンクールで第2位入賞に輝き、以後各地のオーケストラを振り、日本にもファンは多い。
 その指揮は流れるように美しく、弦楽器は輝かしく、管楽器は黄金の響きを紡ぐ。彼は常に楽員に笑顔を見せ、全員で音楽を楽しむことができるよう、親密な空気を作り出す。
 今日のニューイヤー・コンサートもひとつひとつの音色がため息が出るほど美しく、ウィーン・フィルが底力を存分に発揮できるよう、新たな曲と伝統的な曲を組み合わせながら楽員の士気を高めるよう、曲順にメリハリをつけていった。
 なんと考え抜かれたプログラムだろうか。
 これを聴きながら、以前ヤンソンスにインタビューをしたときのことを思い出した。このときは時間がほとんどなく、マエストロが地方公演から戻って羽田空港に着いてから都内のホテルに移動するタクシーのなかだけ、というタイトなスケジュールだった。
 私はそのときの演奏作品について、新譜についてなど矢継ぎ早に質問し、ホテルが近くなった段階で、父親とムラヴィンスキーとカラヤンについて、彼らからどんなことを学んだかということに話を移した。
 するとヤンソンスは「きみ、まだ時間ある? ホテルのロビーで続きを話したいんだけど大丈夫かな」と聞いてきた。「ええ、もちろん。このことが一番お聞きしたかったことなんです」というと、彼は「実はね、この3人の話になると、私は一晩中でも話が尽きないんだよ。これこそ、私がもっとも話したいことなんだよ。よくぞ聞いてくれた」と笑った。
 空港からここまで約20分。それからロビーで30分。このロビーでの時間がなかったら、記事は非常に中途半端。どうしよう、という感じだったが、マエストロのひとことで目の前が急に明るくなった。
 ヤンソンスは父親からは指揮者としての精神性を、ムラヴィンスキーからは作品の洞察力を、カラヤンからはオーケストラとの一体化を学んだと語った。
 彼はとても温かく誠実な人柄で、ユーモアもあり、相手をふんわりと包みこむ不思議な力を持っている。これが多くのオーケストラから求められる理由のひとつかもしれない。
 一時期、体調を崩してステージから遠ざかっていたが、近年見事復活。今日のニューイヤーも、かろやかな動きを見せていた。もしも、次にインタビューをする機会に恵まれたら、今度はもっと時間をかけて恩師である3人の話を聞きたいと思う。また、「これが一番話したいこと」といってくれるかも(笑)。
 
 
| 終わりよければ…取材奮闘記 | 23:10 | - | -
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