Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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インゴルフ・ヴンダー来日
 アーティストのデビューCDのライナーノーツを書く仕事は、大きな責任を伴う。そのアーティストが初めて自身の録音を世に問うものであり、生涯の宝物となるCDにほかならないからだ。
 ただし、この仕事は責任と同時に非常に名誉なことでもある。ひとりの若きアーティストのスタートラインにともに立つことができ、喜びを共有できるからである。
 昨年も、いくつかのデビューCDのライナーを書く幸運に恵まれた。そのCDは私自身の宝物でもあり、仕事部屋のCD棚のなかでも特別な位置を占めている。
 これと同様に、コンサートのチラシの裏面にそのアーティストのことを紹介する原稿を書く仕事も責任が重い。
 この原稿は、そのアーティストの音楽性、人間性を紹介するわけで、それを読んだ人たちがぜひその演奏を聴きたいと思ってくれなければ意味がない。
 やたらにほめたり、持ち上げたりすることは避けたいし、そんな文章はだれも読みたいとは思わないだろう。これまでステージや録音で演奏を聴いてきたことを踏まえ、インタビューで会ったときの印象や話の内容、素顔などを織り交ぜながらその人をクローズアップしていく。それに今回のプログラムの聴きどころを加え、端的に魅力を紹介する。
 ただし、ほとんどの場合、文字数は800字くらいだ。このなかですべてをいいきるのは至難の業。いつも書き始めるとすぐにオーバーしてしまい、削り落して行く作業に時間がかかる。
 つい先ごろ、4月に来日して全国4カ所(いずみホール、びわ湖ホール、紀尾井ホール、フィリアホール)でリサイタルを行うオーストリアのインゴルフ・ヴンダーのチラシ原稿を書いた。
 彼についてはショパン・コンクールの様子やガラ・コンサートで来日したときの模様をブログにも綴ったが、本格的なリサイタルは初めてとなる。
 豊かに歌い、情感あふれるヴンダーのピアノ。それをようやくじっくり聴くことができる。プログラムは前半がモーツァルトのピアノ・ソナタ第13番とリストの超絶技巧練習曲集より「夕べの調べ」「マゼッパ」、後半がショパンのピアノ・ソナタ第3番と「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。
 ショパン・コンクールで唯一スタンディングオベーションを巻き起こしたヴンダーの演奏は、あれからどう変貌しただろうか。
 私はチラシの原稿に「ヴンダーは特別な音を備えている」と書いた。彼の音は少し聴いただけで、その特有の響きで聴き手を魅了する。だれのまねでもない、ヴンダーならではの音。4月にはその音を再び聴くことができる。
 今日の写真はそのチラシ。グラモフォンのデビューCDのジャケット写真が使われている。

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