Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アルカント・カルテット
 今日はトッパンホールで15時から行われたアルカント・カルテットのコンサートを聴きに出かけた。
 2002年夏より本格的な活動を開始したこのカルテットは、創立当初からヨーロッパで「衝撃のカルテット」「神業ともいえる精度と高いスピリット」と評され、いまやコンサートのオファーが何年も先まで詰まっている。
 アルカント・カルテットとは、「歌う弓」を意味する彼らの造語。メンバーは第1ヴァイオリンのアンティエ・ヴァイトハース、第2ヴァイオリンのダニエル・ゼペック、ヴィオラのタベア・ツィンマーマン、チェロのジャン=ギアン・ケラスといういずれ劣らぬ実力の持ち主。
 以前インタビューしたときはとても仲がいい4人という印象で、ふだんはそれぞれソリストとして、室内楽奏者として活動を行っているため、カルテットの活動で集まると、近況報告で夜中まで話が絶えないといっていた。
 現在は、2カ月に1週間ほど時間をとって活動。「心のすべてを捧げる演奏を目指している」と語っていた。
 今日のプログラムは、前半がバルトークの最後の弦楽四重奏曲である第6番と、あまりナマで演奏される機会に恵まれないハイドンの弦楽四重奏曲ロ短調作品64-2。そして後半は今年生誕150年を迎えたドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調作品10という、時代も構成も内容も表現も異なる3作品が組まれた。
 バルトークは彼らの得意とする作品。「メスト(悲しげに)」と記された旋律を全4楽章にわたって深く深く掘り下げていく。4人の演奏は、他の人の音に注意深く耳を傾けながらも自己を明確に主張し、ときに音をぶつけ合い、あるときは呼応し、はげしく強くバルトークの魂を表現していくスタイル。
 続くハイドンはガラリと表現を変化させ、自由で健康的で明朗。お互いのアイコンタクトもやわらかなものに変わっていた。
 休憩後のドビュッシーは、アラベスクのようにさまざまな旋法や色彩やリズムが多様性を織りなす作品。彼らは調性や主題が変化する第1楽章、ピッチカートを多用した第2楽章、弱音器を用いた静謐な第3楽章、光り輝く第4楽章とめまぐるしく変貌する曲想を楽しむように、のびやかな音を響かせながら演奏。まさに息の合った、「精度の高いスピリット」を披露した。
 これは次号の公明新聞の公演評に書くことになっている。
 ソリストが集まって定期的にカルテットを組むケースは結構見られるが、アルカント・カルテットはなかでも傑出した存在。室内楽のなかでもとりわけ弦楽四重奏曲のジャンルが大好きな私は、彼らのシリアスななかに音楽を心から楽しんでいる精神を見出し、その楽しさを演奏から存分に受け取ることができた。今日はすごく寒かったが、演奏を聴いた後は胸のなかがほんわか温かくなった気がし、笑顔で帰宅することができた。これだから、弦楽四重奏曲はやめられない。作曲家が心血を注いで書いた作品が多く、弦4本が宇宙的な広がりを持つ世界を表現する。ホント、からだ全体が温かくなった感じ(笑)。
 アルカントの4人、またすぐにでも来日してほしいな。
| クラシックを愛す | 22:51 | - | -
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