Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アレクセイ・ヴォロディン
 今夜は、すばらしいピアニストの演奏に酔いしれた。まさに心が浮き立ち、高揚し、最後は「ブラボー!」と叫んでしまったほどだ。
 ロシア出身のアレクセイ・ヴォロディンは、1977年サンクトペテルブルク生まれ。グネーシン音楽大学でタチアナ・ゼリクマンに、モスクワ音楽院でエリソ・ヴィルサラーゼに師事した、まさにロシア・ピアニズムの継承者。
 ヴォロディンの演奏を高く評価しているのは指揮者のワレリー・ゲルギエフで、両者は何度も共演を重ねている。
 以前も演奏を聴き、今回の来日チラシの裏には推薦文なども書いたが、今回の演奏は見違えるような成長ぶりを見せ、すでに大家の風格を示していた。
 彼の演奏は非常に手首がしなやかで、完璧なる脱力ができていて、からだのどこにも余分な力が入っていない。それゆえ、とてつもない速さのパッセージも可能で、音楽が推進力に富んでいる。
 プログラムはシューベルトの即興曲集作品90からスタート。弱音が美しく、詩的で幻想的な美を紡ぎ出した。
 次いでベートーヴェンの「悲愴」ソナタ。これを聴いて、私の脳裏にはエミール・ギレリスやラザール・ベルマンの演奏が浮かんできた。「悲愴」そのものの演奏ではなく、彼らのような構成力とタッチ、音色が存在していたからである。
 後半はラフマニノフの「楽興の時」とストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」というロシア作品。これこそ、ヴォロディンの本領発揮。前半とは奏法、ペダリング、打鍵、ダイナミズムの幅をがらりと変え、まったく別人が弾いているような違いを見せた。
 目を閉じて聴いていると、若きピアニストではなく、古き時代のヴィルトゥオーソが演奏しているよう。一気に時代が遡った錯覚に陥った。
 アンコールも5曲演奏されたが、とりわけ興味深かったのはカプースチンの「コンサート練習曲」第7番。リズム表現が最高におもしろく、ジャジーな空気を醸し出し、聴衆はからだを動かしたり、頭でリズムをとったり。みんなすごく楽しそうだった。
 今日の公演評は次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定になっている。
 こういう才能に出会うと、いつもロシアの音楽の底力と、奥深さを痛感する。ピアノ好きには絶対聴いてほしい人である。人生が豊かになる、そんな稀有なピアニストだから。
 今日の写真は演奏会のチラシ。ひとつ残念だったのは、インタビューを申し込まなかったこと。次回の来日時にはぜひ、話を聞いてみたい。


 
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