Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ
 昨夜は、樫本大進とコンスタンチン・リフシッツのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲チクルスの第2回をサントリーホールに聴きにいった。
 このシリーズに関しては、大進に何度かインタビューを行い、作品に対する思い、リフシッツとの共演について、またプログラムの組み立てかたなどを聞き、さまざまなところで記事を展開してきた。
 昨夜は前半に第2番と第6番を、後半に第7番と第8番をもってきた。
 よく、「地位が人を作る」というが、まさにこのリサイタルでそのことばを実感した。大進の演奏はデビュー当初から聴き続け、人間的な成長とともに演奏が大きな変貌を遂げたと感じていたが、昨夜の演奏は、ベルリン・フィルのコンサートマスターとして日々緊張と責任と多大なる集中力のなかで演奏している成果が存分に発揮されたものだった。
 以前にくらべ、音楽全体に余裕が生まれ、音色が自由自在に変化し、ベートーヴェンの作品に対する洞察力が増し、自信がみなぎっていた。
 ここにリフシッツの真に天才的な自由闊達なピアノが加わると、えもいわれぬ味わい深いベートーヴェンが生まれる。
 大進はいつもおごらず、和を大切に、主張すべきところはきちんと主張するが、相手を気遣い、その一方でリーダーシップを発揮する。
 彼は、ベルリン・フィルのコンサートマスターに内定した段階では、口では気にしていない、なるようになるといっていたが、この時期はかなりストレスがたまっていたと思う。
 それがコンサートマスターに正式に就任してからは、もちろん重責だが、リラックスした表情を見せるようになった。
 こんなにも偉大な地位に就いたことが人間を変え、演奏を変えたことに驚いた。必死で弾いている感じはまったくなく、盟友とのデュオを心から楽しみ、ベートーヴェンに身も心も捧げていたため、私たち聴き手も作品のすばらしさに酔うことができた。
 次回は2013年1、2月の予定。またひとまわり大きくなった樫本大進に会えるに違いない。
なお、リフシッツは3月15日に紀尾井ホールでJ.S.バッハの「フーガの技法」でリサイタルを行う。これはバッハの絶筆となった未完の大作。どんな楽器で演奏されるべきか、どのような順序で配列すべきか、またどのような形にしたかったのかなど、謎の多い作品である。
 彼はすでに録音もリリースしているが、この大作にリフシッツがどう挑むのか、ナマを聴くのが非常に楽しみ。バッハを深く愛している彼ならではの宇宙が形成されるのではないだろうか。
| クラシックを愛す | 22:14 | - | -
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