Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< モーストリー・クラシック座談会 | main | ロール・キャベツ >>
樋口達哉
 以前も、アーティストのデビューCDのライナーノーツを書くことの意義を綴ったが、またもや貴重なデビュー・アルバムのライナーを担当した。
「テノール界の貴公子」と呼ばれる、樋口達哉のソロ・デビューCD「君のために〜Per Te」(ソニー・ミュージックダイレクト)である。
 樋口達哉は福島出身。昨年の大震災に胸を痛め、気持ちを同じくする仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演し、音楽で人々を元気づけようと熱い思いを込めたアルバムを作り上げた。
 ここには彼がミラノ留学時代から現在まで歌い続けているオペラ・アリア、カンツォーネ、歌曲など17曲が収録され、聴き手をイタリアの地へといざなう。
 とりわけ印象的なのが、彼が「コンクールやオーディションで歌ってきた、いわゆる勝負曲」と語るプッチーニの歌劇「妖精ヴィッリ」から「幸せに満ちたあの日々」。演奏される機会がほとんどないこの作品を、彼はオーケストラと一体となって美しく歌い上げている。
 先日インタビューも行い、各々の作品に対する思いや留学時代の思い出、バリトンからテノールに転向したときのこと、デビューCDならではの選曲へのこだわり、タイトルになった「君のために〜Per Te」との出合いなどを聞いた。そのインタビューは次号の「婦人公論」に掲載される予定だ。
 樋口達哉は、私の大好きなアルフレード・クラウスがマスタークラスの指導をしている様子を聴講したという。実際に歌いながら教えているナマの声を間近に聴き、その情感豊かで深々とした歌声に魅了されたそうだ。いいなあ、うらやましいなあ(笑)。
 イタリア時代に経験したことを嬉々として話す彼の様子を見ていたら、私もその場に居合わせたような感覚に陥った。さまざまな指揮者、歌手などの話が次々に飛び出し、まるでオペラの舞台袖にいるような気分になったから不思議だ。
 彼はこのCDを「ふるさと」で締めくくっている。この曲は震災後、さまざまな歌手によって歌われてきた。昨年ドミンゴがコンサートのアンコールで歌ったときには、みんな一緒に歌いながら涙を流したものだ。
 今回の「ふるさと」も、被災地への思いが込められた熱唱。私も聴きながらともに歌い、彼らと気持ちを同じくしている。
 今日の写真はインタビュー時の樋口達哉。おしゃれで人あたりがよく、とても真面目だが、話しやすい人である。ぜひ、歌声を聴いてみて!

  
| アーティスト・クローズアップ | 22:21 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE