Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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デニス・マツーエフ
 ロシアのバイカル湖沿岸の都市イルクーツク出身のデニス・マツーエフは、ステージとオフステージの表情がまったく異なるピアニストである。
 192センチの長身でがっしりした体躯。ピアノに向かうとエネルギー全開で、楽器はすさまじい迫力で鳴り響き、ホール全体が大音響に包まれる。ステージに登場するときからコワモテでのっしのっしという感じで現れ、まさにロシア旋風が吹き荒れる予感がする。
 ところが、インタビューではジョーク連発。話がどんどん本題から逸れ、「バイカル湖沿岸の女性は世界一」「近ごろの男性ピアニストは、くねくねしてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾くからたまらん」「新しい楽譜を見るときは女性をハグするようにその楽譜をしっかり抱きしめ、大好きになるようにする」などと記事にできないことばかりに飛んでいく。
 ただし、真面目に答えるときはすさまじく真面目で、あらら、どうしたのかしらと、そのギャップに驚かされることもしばしば。
 今回も6月号の「intoxicate」のインタビューで、新譜のリストのピアノ協奏曲第1番、第2番、「死の舞踏」(ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア国立管弦楽団、ソニー)、ショスタコーヴィチとシチェドリンのピアノ協奏曲(ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団 マリインスキー・レーベル)について話を聞いたが、案の定脱線に次ぐ脱線。
 この日は午前11時に成田空港に着き、その足でオーケストラとのリハーサルに出向き、午後1時からリハ。それを終えて何本か取材に応じた。なんというタフさ。あまりに過酷なスケジュールゆえか、時差と寝不足ゆえか、いつもよりさらにテンションが高く、話は飛びっぱなしだった。
 いまマツーエフはビデオブログを発信しているそうだが、それを得意げに見せてくれたり、自分のサイトは「マッチャン、ボケボケ、ドットコムだよ」と冗談をいってみたり。なんと、ここだけ日本語になっていた。
 私がそれを聞いてギャーッと大笑いしたら、受けたと思ったのか、「マッチャン、ボケボケ、ドットコム」と大声で連発。いやはや、インタビューにはなりませんな(笑)。
 究極は身長の話。192センチメートルの「メートル」は、ロシア語では「偉人」を意味するそうで、「だからぼくは《偉人92》と呼ばれているんだ!!」と、ここでもまた話が果てしなく逸れていく。
 彼は以前、テニスのマラト・サフィンと親友だといっていたので、「サフィンは引退後どうしている?」と聞いたら、「ああ、マラトはすごく元気だよ。何かビジネスを始めたみたい」といっていた。でも、実はサフィンは昨年12月、ロシア連邦議会の下院選挙に統一ロシアから立候補して当選、政治家になったのだ。
 サフィンも身長193センチ。ふたりが並んで歩いていると、みんなが見るそうだが、そりゃそうでしょう、ふたりとも目立つもんね。
 というわけで、今回はいかにリストが好きか、ラフマニノフがすばらしいかという話がなんとか取材でき、記事はまとまった。でも、私はずっと笑いっぱなしだったので、マツーエフ以上に疲れてしまった、やれやれ(笑)。
 彼は11月にゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団との共演で日本公演を行い、名刺代わりというラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏する予定になっている。きっと両者のエネルギーが爆発する演奏になるに違いない。
 今日の写真は、疲れでテンションあがりっぱなしのマッチャンです。イェーイ!!

| 終わりよければ…取材奮闘記 | 22:02 | - | -
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