Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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グリーグのピアノ・ソナタ
 先日、デニス・マツーエフのインタビューの様子を綴ったが、そのときにレパートリーの話になり、彼が話したことでとても印象に残ったことがある。
 というのは、マツーエフはあまり知られていない作品や、いい作品なのになぜか埋もれてしまっているものに光を当てることに意義を見出しているそうだ。
 日本にくる前にニューヨークのカーネギー・ホールで弾いてきたのが、グリーグのピアノ・ソナタで、実はこの曲が大好きなんだという。
「ぼくは12歳のときにグリーグのピアノ・ソナタと出合い、弾き始めたんだけど、すばらしい作品だと思う。でも、このソナタはあまりステージで取り上げられない。なぜなんだろう。不思議だよねえ、こんなに美しくて多種多様なものが込められている曲なのに…」
 こういってマツーエフはいかにこの作品がすばらしいかを力説した。そしてこう付け加えた。
「この前、ユーチューブでグリーグ自身が1902年に演奏している映像を見つけ、大発見したとひとりで大騒ぎしてしまった。かなりヴィルトゥオーゾなスタイルで弾いていて、とても感動的だったし、演奏する際にすごく役立つ。より一層、このソナタが好きになったよ」
 
 ここで、以前書いた単行本「グリーグを愛す」のピアノ・ソナタ ホ短調 作品7の項を記してみたい。

 グリーグはピアノ・ソナタを1曲しか残していない。これはピアノ協奏曲と同様、20代の若いころの作品である。1865年に初稿が書き上げられ、1887年に改訂稿が完成した。
 1862年にライプツィヒでの留学を終えてコペンハーゲンに戻ったグリーグは、そこで情熱的なノルウェーの青年作曲家ノールロークに出会う。彼の影響からノルウェーの国民主義を目指すようになったグリーグは、翌年と翌々年にコペンハーゲンの北部の田園地帯ルンステッドに滞在し、やがて1865年になってこの土地でピアノ・ソナタを書き上げる。作曲は一気に進められたようで、詳しい日付は不明だが、季節は6月後半、作曲に要した期間はわずか11日間という記録が残されている。
 第1楽章 ソナタ形式とはいうものの、かなり自由な扱いを見せる。ホ短調で提示される第1主題はすぐにト長調の第2主題に変わり、力強い展開部へと発展していく。再現部では両主題とも前と同じ調で現れ、やがて第1主題に基づく力強いコーダで締めくくられる。
 第2楽章 おだやかで美しい歌謡的な楽章。グリーグらしさが満ちあふれているような美しいハ長調の主題が奏でられ、副主題が登場した後に分散和音がffで演奏され、やがて静かに曲は閉じられる。
 第3楽章 第1楽章の最初の主題がこのメヌエットに登場する。トリオはホ長調に変わり、最後に再びホ短調のメヌエットが再現される。
 第4楽章 短い序奏の後、リズミカルな第1主題が提示され、これがハ長調の第2主題に転じる。コーダはプレストのテンポで力強いフィナーレとなる。

 私もこのピアノ・ソナタは大好きである。ぜひ、一度聴いてほしい。本当にマツーエフがいうように、なぜ演奏される機会に恵まれないのか不思議だ。
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