Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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久元祐子
 3月16日から4月8日まで、「東京・春・音楽祭」が上野で開催されている。これは「春が訪れ、桜が開いて、音楽が始まる、上野の森に」というキャッチのつけられた音楽祭で、東京文化会館、上野学園石橋メモリアルホール、旧東京音楽学校奏楽堂、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館、水上音楽堂を会場としている。
 昨年はプレイエルの楽器について原稿を書き、今年はエラールに関しての原稿がプログラムに掲載されたため、今日は国立科学博物館の日本館講堂で行われた久元祐子のピアノによるミュージアム・コンサート「名器エラールで聴くピアノ名曲選」を聴きにいった。
 上野駅に着くと、行楽客や観光客、音楽祭のお客さんなどでおおにぎわい。演奏会場も満杯の聴衆で、14時開演という時間帯にもかかわらず、幅広い客層の人々が集まっている。
 久元祐子の演奏は、1845年製のエラールの楽器のよさを存分に生かした奏法で、会場のノスタルジックな雰囲気とピタリとマッチ。現代のピアノとは音響も音質も異なり、残響は少なく、ペダリングも難しそうだ。
 しかし、こうした古い時代の楽器を自らも所有し、長年さまざまな楽器を弾き込んでいる彼女は、あたかもショパンやリストやシューマンの時代を蘇らせるように、自然なタッチで演奏。前半はベートーヴェンからスタートし、やがてリストやショパンへと移り、トークをまじえて作品をわかりやすく紹介、ときにユーモアやウイットを交え、聴き手の心をなごませた。
 今日の日中は珍しく温かい日差しが降り注ぎ、上野の森も春の香りに包まれた。こんな日に、伝統を感じさせる古雅なピアノの響きに触れ、とても幸せな気分に包まれた。
 終演後に久元さんに会ったら、彼女はプレイエルやベーゼンドルファーの歴史的な名器をもっていると語っていた。また、その貴重な響きをまた聴きに出かけたいと強く感じた。なぜなら今日の演奏は、作品が生まれた時代へと私の心を飛翔させてくれたからである。このエラールはダンパーも響板もすべての部品がオリジナルで、その時代の音そのものを保持しているそうだ。コレクターのかたが大切に保存しているのだろう。
 今日の写真はそのエラールと、終演後の久元祐子。彼女は今日のエラールを「宝石のような輝き」と語っていたが、まさにその通り。
 この音楽祭は4月もまだいくつか聴きに出かけ、そのレポートは5月発売の「音楽の友」に書く予定になっている。またすばらしい音楽との出合いがあるのでは、と胸が高鳴る思い。



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