Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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東儀秀樹
 先日、篳篥(ひちりき)など雅楽に用いられる古典楽器からシンセサイザーまでさまざまな楽器を演奏する東儀秀樹に話を聞いた。
 実は、1998年に女性誌のインタビューで一度会ったことがあり、それ以来のインタビューとなった。
 いつも驚くのは、とても前向きな姿勢をもった人だということ。本人いわく楽観主義で、病気になったときや大けがをしたときも決して気落ちすることなく、いま何をするべきかを考えて果敢に行動していたそうだ。
 そんな彼が長年の夢だったCDのアメリカ・デビューを果たした。題して「TOGI/東儀秀樹」(ユニバーサル)。今年はCDデビュー15周年の記念の年だが、折しもワシントンの桜まつり100周年にあたり、この記念イヴェントで演奏することになったため、レコード会社がアメリカ・デビューを計画した。
「ぼくの演奏している古典楽器はグローバルな空気をもっているし、海外の人たちにも興味をもってもらえる。ずっと前から海外リリースを望んでいたんです」
 この桜まつりに合わせてリリースされた新譜は、これまでの代表作や思い出の詰まった曲をアレンジを変えたり共演者を変更したりして、東儀秀樹の歩みを俯瞰した形でプログラミングされている。
「でも、レコード会社の担当者から1曲は新曲がほしいといわれ、すぐに作り上げたのが冒頭の《Cosmic Thoughts 宇宙(そら)への想い》なんです」
 東儀秀樹の生み出す音の世界は、まさに宇宙的な広がりを感じさせる。そのなかに古典と現代が混在し、どこか懐かしい感じも抱かせる。これは日本人のみならず、海外の人も「なんとなくなつかしい響きだ」と感想をもらすそうだ。
 雅楽の伝統的な装束に身を包んで篳篥を演奏している姿は、いにしえの時代へと聴き手をいざなうものだが、実は彼は現代的な趣味をたくさんもっている。
 クルマも大好きで、イタリアのブレシアとローマを3日間で往復するという1600キロにおよぶラリーに参戦してから、日本でも自身でラリーを企画した。題して「ラリー日本」。これは日本の世界遺産を巡るラリーで、80台ほどが参加するという。昨年は東京、京都間で、世界遺産の地ではゆっくり鑑賞もする。伊勢神宮では正式参拝もしたそうだ。
「でも、道楽だと誤解される向きがありますが、決してそうではない。大人のゆとり、遊び心などを堪能するもので、ヨーロッパの成熟した大人たちの精神を日本でも体現したいと思って始めたんです。それに共感してくれた台湾やアメリカの人たちが自分たちの土地でも行いたいといってくれ、次第に世界に広がっています。クルマという文明の利器と、人が残した遺産とを一緒に楽しむ。日本再発見になります」
 自宅には世界各地で見つけたさまざまな楽器が飾られ、あたかも民族楽器博物館のよう。それらはちょっと演奏の仕方を教えてもらっただけで、ほとんど吹いたり弾いたりできてしまうという。
 時間が少しでもあると、次は何をしようかと好奇心の赴くまま、直感に従って行動するという彼。悩んだり迷ったりせず、何でもやってみるという姿勢が大事と力説する。
 本当に前向きな人である。「なんでも無理だと思ったら、その時点で終わり。とにかくやってみなくちゃ」ということばに背中を押される思いがした。
 このインタビューは来週木曜日アップのヤマハWEB「音楽ジャーナリストの眼」に掲載される予定である。
 今日の写真は、インタビュー後の東儀秀樹。各地から東儀家にやってきた多種多様な楽器の前で。爬虫類の皮や不思議な材料で作られた楽器もあるんですよ。ひとりでここにいたら、ちょっと怖いかも。でも、初めて見る物ばかりで、私は結構怖いもの見たさの興味津々。本当は、蛇皮の楽器、ちょっと触らせてほしかったな(笑)。

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