Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ネマニャ・ラドゥロヴィチ
 コンサートに行くと、ホールの入口で今後の演奏会のチラシの入った袋が配られている。これはその日の楽器の種類や演目に関連したものが選ばれて入っていることが多く、人々は演奏が始まる前にこれらのチラシに目を通す。
「さて、次はどんなコンサートに行こうか」
「ああ、このアーティストが来日するのか」
「半年後にこの人が演奏する。すぐにチケットの手配をしなくちゃ」
 聴衆は、それぞれの好みでじっくり見るチラシというものが決まってくるようだ。パッパと飛ばしてしまうチラシもたくさんある。周りの反応を見ていると、いつもいろんなことを考えさせられる。
 実は、私の仕事のなかに、このチラシの裏の推薦文を書くというものがある。そのアーティストをずっと聴き続け、演奏のすばらしさを熟知し、キャラクターもよく知っているという人のチラシがほとんどで、音楽事務所から演奏会のかなり前に依頼が入る。
 これは責任を伴う仕事で、チラシの原稿を読んだ人が、そのアーティストのコンサートに行きたいという気持ちになってくれなければ意味がない。かといって、やたらにほめることは避けたい。そんな文章はしらけるだけだから。
 大体、原稿は600字から800字程度。その短いなかで、そのアーティストの演奏の魅力、今回のプログラムの聴きどころ、初めてその人の演奏を聴きに行く人のために人間性にも触れなくてはならない。
 いつも原稿を書く前に録音を聴き直したり、以前のインタビュー時のことを思い出したり、実際に聴いた演奏を反芻したりしながら、自分のなかに文章が湧いてくるのを待つ。そして出だしが決まると、一気に書き進める。
 今日は、11月に来日するセルビア出身の若き個性派ヴァイオリニスト、ネマニャ・ラドゥロヴィチのチラシが出来上がり、音楽事務所から送付されてきた。
 今回は、「ときに悪魔的に、あるときは天使のように、ネマニャの弦は変幻自在に表情を変え、聴き手の心を酔わせる」というタイトルにしてみた。
 プログラムはJ.S.バッハとイザイの無伴奏ヴァイオリン作品のみで構成され、彼は大好きなふたりの作曲家のソロ作品で勝負する。1985年生まれのネマニャ、これからいかようにも音楽が変容する、限りない可能性を秘めた人である。
 これが届いてチラシ裏をながめていたら、他の音楽事務所から同じく11月にリサイタルを行うピアニスト、アリス=紗良・オットのチラシ原稿の依頼が入ってきた。
 さて、今度はアリスに集中して内容を詰め、なんとかいい文章が書けるようにしなくては…。
 今日の写真はネマニャのチラシの表。以前、彼のヘアスタイルに関するエピソードにはちょっと触れたけど、やっぱり迫力ある髪型だよねえ(笑)。

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