Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ポール・ルイス
 今夜は、2011年4月から2年越しで行われているポール・ルイスのシューベルト・チクルスの第4回を王子ホールに聴きにいった。
 プログラムは、シューベルトが友人たちとともに開いていた、シューベルティアーデと呼ばれていた仲間の集いで演奏されていた作品が主で、「16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ」作品33からスタート。
 多種多様な舞曲が登場する作品を、ルイスは親密的な響きで弾き始めた。やがてその音楽は素朴さ、明朗さ、はつらつとした表情、憂愁を帯びた雰囲気、無言歌風の様相などさまざまな表現に姿を変え、ほとんどが1分たらずのドイツ舞曲16曲、エコセーズ2曲を歌曲を奏でるように演奏していった。
 続く「アレグレット」ハ短調は、あまり演奏する機会に恵まれない作品。ルイスはこうした作品をリサイタルのなかに組み込み、シューベルトの小品の意義を問い正すように細部まで神経を張り巡らし、柔和な旋律をていねいに表現した。
 前半の最後は「さすらい人幻想曲」の約3カ月後に書かれたピアノ・ソナタ第14番。ルイスは柔和なコラール風の旋律や3連音のリズムを際立たせたが、とりわけ印象的だったのは終楽章の変形ロンド形式の力強い奏法。
 ルイスのシリーズは第1回からずっと聴き続けているが、回を重ねるごとに主張が強くアグレッシブになり、迫力が増してきた。
 それは後半の35分以上も続く大作、ピアノ・ソナタ第16番で強く感じるところとなった。このソナタは主題や変奏、リズム変化、構成などにシューベルトの新たな面が打ち出されている。
 ここでは美しい緩除楽章がルイスの心の歌のように奏でられ、ひときわインパクトが強かった。本当に彼のシューベルトは徐々に説得力を増し、自分の音楽に迷いがないという姿勢を示している。
 次回は2013年2月2日、最終回である。最後のピアノ・ソナタ第19番、第20番、第21番の3曲が予定されている。きっとシリーズを締めくくる、ポール・ルイスの全身全霊を傾けた、入魂のピアニズムが披露されるに違いない。
| クラシックを愛す | 22:50 | - | -
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