Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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インゴルフ・ヴンダー インタビュー 
 今日はユニバーサルでインゴルフ・ヴンダーのインタビューが行われた。
 昨日、演奏を聴いたばかりなので、そのプログラムや演奏の様子から話が始まり、次なる新譜にも話が及んだ。
 彼はデビュー・アルバムはショパン・コンクールの入賞者らしくショパン一色のアルバムを作り上げたが、第2弾はさまざまな年代、国、様式の異なる作品を組み合わせて1枚のアルバムを構成することを考えているそうだ。
「自分が提案した内容をドイツ・グラモフォンの人たちが受け入れてくれたので、とてもうれしかった。もうすぐ録音する予定なんだよ。昨日アンコールで弾いたような作品がたくさん入る予定。ぼくは好きな作品しか演奏しない主義。ある作曲家の全曲録音というものには興味がないんだ。だって、どうしても共感できなかったり、好きになれない曲が少しは入ってくるから、それを無理して演奏したり録音したりするのは意味がないように感じられる。子どものころから、好きな作品だけを自由に演奏してきた。それは今後も変わらないぼくの根本的な姿勢なんだ」
 以前、会ったときよりもリラックスし、笑顔も多く、雄弁になった。やはりコンクール直後は大変だったというのがよくわかった。
「本当に、コンクール後しばらくは、自分が何をしているのかよくわからなくなってしまった。いま、ようやく飛行機での移動、ホテルでの過ごしかた、ツアー中の時間の使いかた、体調の管理などがコントロールできるようになってきた。でも、何といっても大切なのは、練習時間の確保。これが最優先」
 現在は、年間55回のコンサートにしぼっているとか。とにかく練習してレパートリーを広げなくちゃと、真摯な表情を見せていた。
 これは「音楽の友」のインタビュー。いろんな話を聞いた後、私の友人Kさんの昨日のことばを伝えると、ヴンダーは最初は目を丸くして驚いたような表情をしていたが、すぐに両手を胸にあて、「ああ、なんてすばらしいことばなんだ。そんなことをいってくれるなんて。本当にありがとう。もう、それ以上のことばはないよ。これからも頑張って練習して、少しでもいい演奏ができるように精一杯努力するよ。よろしく伝えてね」といって、もともとナイーブな目を感極まった表情に変え、涙をこぼさんばかりにうるうるさせた。顔は、もうくしゃくしゃだ。
 彼は以前にも書いたが、苦労してここまで上り詰めた人である。だからだろうか、ひとつひとつのことばがとてもていねいで、誠心誠意質問に答え、必ずおだやかな笑みを見せる。
 今後はベートーヴェンにじっくり取り組みたいそうだ。
「だけど、ソナタ全曲演奏はしないよ」
 ハイハイ、わかっています。好きな作品だけね。
 最後に盛りあがったのが、趣味の話。これは「音楽の友」にじっくり書くつもりだが、ちょっと紹介すると、「人生の意義について考えを巡らすのが趣味」なのだという。これは哲学的な話にまで発展してしまい、「生きる意味とは」「自分は何者か」「いま何をすべきか」というところまで進んでしまった。
 ヴンダーは考え出すと眠れないそうだ。そういえば、ショパン・コンクールのとき、眠れなくて目の下にクマを作っていたし、あまり不眠が続くため、夜のワルシャワの町を走ったら、余計に目が冴えて困ったと話していましたよね、というと「ああ、悪夢が蘇ってきたー」といって頭を抱え、すぐに笑いながら「よくそんなこと、覚えているねえ」といっていた。
 そりゃ、覚えていますよ。とてつもなく寝不足なのに、あんなに集中力に富んだ演奏をしたんですもの。ああ、あのステージ、なつかしいなあ。
 今日の写真はインタビュー後のインゴルフ。ねっ、リラックスしているでしょう。


 
| アーティスト・クローズアップ | 23:13 | - | -
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